研究開発 5/12
研究開発のテーマ
片手プル-プッシュドリル(片側の手を前に残す)
- スーパーマングライド姿勢、キックは軽いバタ足またはなし
- 手の位置:人差し指を立てた分の深さ=15cm/6inch→肩より肘や手の位置が上になるのを防ぐ=インピンジメント症候群を防ぐ。
- 片方の手を前に伸ばしたまま、もう片方の手を手首から先を75度曲げる。
- 手首から先の角度を「水面に対して」維持したまま(水面に対して60~70度)、肘を支点にして90度曲げる。
- 肘から先を維持したまま肘を後方に動かす。
- 肘がこれ以上後ろに動かない位置にきたら肘を支点にして前腕を90度回転させて後ろに手を伸ばした状態にする。
両手プル-プッシュドリル
- 片手ドリルと最初の姿勢は同じ。
- ゆっくりと両手を動かす。動かし方は片手と同じ。
- まずプッシュを加える。手が胸の横まできたら水を「押し出す」。押し出した直後は完全にゆるんだ状態を作る。
- 水の固まりが腿の横を通り過ぎることを感覚として得る。
- 次にプルを加える。手首の折りを素早く行い、手の平と前腕を素早く動かして水を抵抗を得る。これが「水抱え感」である。この感覚は手が肩の下を通り過ぎるまでに得る。感覚が得られないときはプルによる加速ができていない。
- プルにより水を運ぶことができれば、プッシュのタイミングは「胸→へそ」あたりまでずれるので遅くなる。従って手が肩の脇からへそに動く間は加速せず等速運動を心がける(水の抵抗はあるので等速でもエネルギーは消費する)。
- 最後にキャッチを加える。75度回転を加速することで水の抱え始めの感覚をつかむ。スカリング効果により体が15cm程度「乗り出す」ようになれば正しくできている。
- 2回繰り返したら続けてクロールを泳ぎ、水を抱える感覚と押す感覚を維持する。
両手プルドリル(水中リカバリー)
- 上記両手プル-プッシュドリルで、手が肘の下まできたら肘をゆるめて「前習え」のように手を戻すとプルだけ練習できる。
- 肘と腋の下のengageの仕方がわかる。
- 手を戻す位置を水面下15cmに常に来るようにすれば、キャッチの練習もできる。手首の返しだけで体が乗り出すようにする。
プル-プッシュ軌跡の確認
- 片手プル-プッシュドリルでゆっくり片手を肘下まで運ぶ。
- 伸ばしているもう片方の手を腿の前まで運び、斜め姿勢にする。このときプル途中の手と体の角度を維持しながら体を回転する。
- 体が水面と水平(フラット)なときは、前腕は水面に垂直で手の平は肘の下にある。体を回転させて斜め姿勢になると、前腕も一緒に45度回転するので手の平は肩の下に来る。
- スケーティング姿勢では手の平は肩の外側である。キャッチおよびプルで肩の方向に動かすことになる。肘を斜め外側(前+外)に出すようにすればスムーズにこの軌跡に手の平を動かすことができる。(あいまい表記では「やや内側にかく」)
- フィニッシュでは少なくとも体はフラットになる(あるいは逆の斜め姿勢)。従ってキャッチからスタートする手の平の軌跡は、「キャッチ-プル:体のやや内側(肩の手の平一つ外側から肩の下まで)」「プッシュ:体の外側(腰から15cm離れた位置)」という折れ線になる。グライドを含むと2点の折れ線となり、実際には体の回転により無段階に手の座標が変化するのでゆるやかな曲線になる。手の平だけを絶対座標で動かすわけではないので、SにもIにもならない。
- またドリルで手を動かすときも、以下の3つの点のみ意識してその間は意識しない。
-キャッチ開始位置:肩の15cm外側、手は水面下15cm
-プル終了位置:肘位置はキャッチ開始位置とかわらず、手は肩の真下
-プッシュ終了位置:手は腰から15cm離れた位置
- 反対の手との関係は以下の通り。
-キャッチ開始時点:入水直線
-プル終了時点:肘が伸びた直後(このタイミングがスイッチ)
-プッシュ終了時点:伸びた手をさらに伸ばす
カヤックドリルの評価
- 手をかくタイミングでリカバリーするカヤックドリルは、素早くリカバリーしようとしたときには早めのキャッチとプルで水をひっかける必要があり、「かいた」感じを得ることができる。
- しかし水中で水を最も押したタイミングで側を切り替えることに慣れていると、手で水をかいたときにはスイッチ動作にまだ入ることができないので非常に違和感を覚えた。
- 水を抱えて、てこの支点に使うのであれば作用点でも最速になる入水のタイミングをつかむ方がよい。
- 1.0秒程度ではメリットが実感できない。0.8秒ぐらいなら効果があるかもしれない。
完成形目視練習
- プルを加えて限界に遅いテンポ(本日は1.20秒)で、途中まで息継ぎをしないで目視で手の最初の位置、スイッチのタイミング、スイッチのときの型をチェックした。
- キャッチやプルは全て目に見える範囲で動作することができるので、目視練習は非常に効果的である。
- 確認する場面が生じたら動きを止めてそれぞれの位置を確認する。
- テンポを速くする場合、水中で伸ばした手が動き始めるタイミングが早くなる。ただしプル終了直後に入水動作が終わるように調整する。