スイム 70分
研究開発のテーマ
- プル優勢の泳ぎにおける加速感の発見
- プルとプッシュのバランス
前日のタイムトライアルでは、タイム以上に加速感の落ち込みが問題であった。これまでの泳ぎ方(プッシュ優勢)では、前のめり姿勢のときに素早く手で水を押し切ると大きな加速(伸び)が得られた。しかしプル優勢の泳ぎではテンポが速いため水を押し切る時間がない。ストロークの前半でいかに加速感を得るかが重要になる。
実施内容
- FPスイム500yd@0.95sec+ドリル練習500yd
- 前半は型にはめることを優先した。片方の手を入水するタイミングでもう片方の水中の手の形をキャッチ後半に合わせる。
- 後半のドリル練習では両手プルからスイム、片手プル(もう片方の手は後ろ)からスイム、両手プル水中リカバリーからスイムを行った。
- テンポピラミッド 2x50x10@1.40-0.95sec
- プッシュ優勢とプル優勢のスタイルの感覚とタイムを比較する。同じテンポにおいて最初はプッシュ優勢で泳ぎ、次にプル優勢で泳ぐ。
- プッシュ優勢:肘の横延長線上入水、水面下30cmターゲット、肩の下通過時に形を意識
- プル優勢:手首の横延長線上入水、水面下15cmターゲット、スイッチ直前に形を意識
- プッシュ優勢で十分コントロールできる範囲は1.40~1.15秒。それ以上テンポが速くなると押し切るための回転角と距離が不十分になる。
- プル優勢で十分コントロールできる範囲は1.20秒~0.95秒。1.20秒以上テンポが遅くなると前後のバランスがとれなくなる。
- テンポ1.40秒ではプッシュ優勢で47.5秒、プル優勢で48.6秒。テンポ1.30秒よりタイムが逆転する。テンポ1.15秒でその差が0.9秒に広がる。
考察
- 今回50ydでは、通常ラクに泳ぐテンポ(1.20秒)においてもプル優勢の方が速いことがわかった。その差はより速いテンポにおいて顕著になる。
- レースでは0.95~1.05秒のテンポを想定しており、あきらかにプル優勢で泳ぐべきである。
- TIを始めてからこれまでの10年間、明確なキャッチやプルを意識してこなかった。体幹を使ってラクに泳ぐという観点ではプッシュを重視するのは正しいアプローチであると考える。
- ただしプッシュだけでスピードを上げるには限界がある。レースに出て速く泳ぎたいのであれば、キャッチやプルを「正しいアプローチ」で練習することで、さらに速く泳ぐことができる。
- プルでも体幹を使うことができる。体幹を使ってプルをてこの支点にするためには、
-正しいスイッチのタイミング
-正しいキャッチ開始の場所
-正しい手の動かし方(3ステップ)
を体に浸み込ませる必要がある。意識を集中して練習すれば今回のように1カ月で成果が出せるレベルにまで仕上げることができる。