2014年8月29日金曜日

手首の締め方による加速コントロール

今週は50km走って21km泳いだ。総運動時間は13.5時間、消費カロリーは6800kcalである。脂肪約1kgが使われたことになるが、体重には50%しか反映されていない。一方で食欲が高まっているため、運動量が激減する日本訪問時が心配である。

ラン 9.2km

心拍数が概ね140未満で最初の30分、140台前半で次の30分を走ることができるようになった。平均ペースは時速8km(7分30秒/km)である。

てこの原理を応用して、接地面である足の裏を作用点、膝を力点として前方に体重をかけた。また坂道においては頭の位置を意識して前のめり感を維持した。この結果ほとんど疲れることなく、次のスイムにつなげることができた。

スイム 4400yds

アップ400、テンポピラミッド10×300、ディスタンスピラミッド2×500でテンポを含めて全く同じ構成で4日間練習した。ここで得られた知見は以下の通り。
  • 水中の手の軌跡を15cm上げることで、速いテンポでも推進力を維持することができる。
  • 手の平の水を後ろに押すという意識よりは、肘を引く結果手の平の水が押されるようにすると疲れない。これはてこの原理の応用である。
  • 水のかかえ始めは背中と胸の筋肉を締めて加速する。
  • 途中の動作は肘を外側に引くことでてこの原理を使う。
  • プッシュは入水動作をてこに使う。入水動作を素早く行うことでプッシュが加速できる。
  • 正しいタイミングで適切な筋肉や関節の締めを使えば、疲れる感じがなく1分32~33秒ペースにすることができる。

キャッチやプルの型の維持と劣化のバランス

テンポ1.15秒までは型をつくり、その型をできるだけ維持するようにして水を後ろに押す。型を維持するのに使われるのは手の平の力ではなく手首の締めである。手首から先は「結果として」水を押すことになる。

テンポ1.10秒から上げる段階では、締める割合を3~5割減らして「撫でる」意識を強くする。1回のストロークで得られる推進力は下がるが、それ以上にテンポを上げる効果があればよい。今日は実験的に0(手首脱力)~10(手で水を押す意識)まで変えてみたが、手首を締めるほど上腕三頭筋が疲れ、緩めるほど空回りする。水を押す感覚を確認しながら手首を緩めていき、水を押す感覚が維持できる最低限の手首の締め方を見つける必要がある。


練習後の気分:8(距離だけでなく発見もあり充実した1週間であった)

2014年8月27日水曜日

てこの原理を使って推進力を得る

前日と同様にラン9.2km、スイム4400ydを合計2時間半(着替え含まず、水泳の途中休憩含む)で行った。最近人生で最も運動している。消費カロリーは1300kcal近いが体型は変わらず。意味不明。

てこの原理をプルに使う

前日は水中の手の平の軌跡を上げることで推進力を増やすことができた。そこで感じたのは、

  • 手の平で水を押すために、手の平に力を入れると心拍数が上がり疲れる。
  • 肘を外側に引くことで、手の平で水が押されている状態を結果として作ることができる。このときはそれほど疲れない。
ということであった。手の平を力の作用点、肩が支点と考えると、
  • 手の平を動かそうと思って手(の平)に力を入れる状態→入れる力と得られる推進力は等価、または水の抵抗の分だけ推進力は減る。
  • 肘を動かすことで結果的に手の平が動いている状態→肘が力点とすれば第3種てこ(箸やトング、ピンセットなど)に該当して大きな力が生まれる。
という仮説が立つ。そこで力点を様々な場所に置いてみた。
  • 肘:手が動き始めた後で肘でリードすることが可能。手が動き始める前からリードしようとすると、肘引きになり水が押せなくなる。
  • 広背筋か大円筋(わきの下の下側):手の動き始めに有効。わきの下を十分に伸ばした反動を使う。
  • 大胸筋:肘が横に出ていると胸の筋肉を使うことができる。意識しすぎると、手が動き出してからの肘による加速にうまくつながらない。
手の平が動き出す前後は背中や胸の大きな筋肉を使い、動き出してからは肘を意識することで手の形を変えずに水を後ろに押し続けると腕の筋肉疲労を抑えることができる。

なお入水する手を力点とすることも可能である。この場合支点は体軸になる。入水する手は重力により加速することができるので、その力を反対側にある水中の手に伝えて推進力に変える。入水する手の加速を増やすことで力点の力が増え、その結果作用点における推進力を増やすことができる。

テンポピラミッドにおいては、テンポが1.05秒以上速くなるとてこの効果がわかりにくくなる。手の平に力を入れることなく、他の部位を使って推進力を維持する工夫がさらに必要になる。

練習後の気分:7(前日よりは疲れなかった)

2014年8月26日火曜日

水中の手の軌跡を磨く

本日より再びラン-スイム連続で練習する。9月のマラソンスイムの準備が目的である。3時間以上泳ぎ続けることは練習では難しいので、半分をラン、半分をスイムで対応する。

ラン:9.2km

心拍数130台後半から140台前半を維持。後半は気温が上がったため心拍数も上がり気味で140台後半を維持。8km地点から意味不明の170台前半。最大心拍数を越えるがこのコースでは最もラクに走ることができた。所要時間1時間11分、心拍数110で平滑化すると1時間30分を越える。

スイム:4400yds

泳ぎだしは足が硬くスピードが遅い。テンポピラミッドで1.30秒のボトムに達しても1分36秒ペースで目標より3秒遅かったので、水中の手の軌跡を変えることにした。

意識をしないと手の平はからだの下50~60cmを通る。これを30cm程度まで狭める。手の平の位置を意識すると手に力が入る(力点と作用点を一致させた状態)ので、肘の軌跡を従来よりも20cm外側、15cm上にする。

この結果テンポを上げる段階ではディセンディングを実現し、1分20秒ペースまで上げることができた。

テンポ1.00秒と0.95秒のディスタンスピラミッド(50-100-150-200)でからだが限界を越えたので終了。学校が始まり誰もいないプールで一人ハードな練習をしている。



2014年8月25日月曜日

苦手な側の息継ぎを磨く2

前日に12kmのランを行った。5kmを越えるランは先月下旬のマラソン以来で1ヶ月振りである。
心拍数135~140を維持してペースは7分20秒、後半は140~145を維持してペースは7分40秒で全体として心拍数140、平均時速8kmであった。私のからだではこの程度が無理なく走れる強度である。この後で3000を泳ごうと思ったぐらいラクであったが、夏休み最終日で10時からプールが混んでいたのであきらめ、本日泳いだ。

○LSDスイム 6000yds(4x1500、グロス1時間39分、ネット1時間36分)

短い距離を繰り返し泳いで全体の距離を増やすのは大切であるが、一度に長い距離を泳がないと見えないことがある。これはランの練習でよくわかった。前回のLSDでは1000を6本泳いだが、今回は1500を4本泳ぐことで見えないものを見つける。

・左右息継ぎのコンビネーション

これまではラップあたり右→左→右→左→右→左で各3回ずつ息継ぎをして苦手な左側を練習した。しかしこのやり方だと17ストローク必要であり、また17ストローク目が息継ぎのリカバリーと重なり横を向いているのでフリップターンのアプローチの目測ができない。

今回は1回に泳ぐ距離が1500と長いので、いろいろな組合せを試してみた。その結果右→左→右→左→右→右(2ストローク)が最もタイミングが合わせやすいことがわかった。メリットは以下の通りである。
  • 期待値の低い左側を続けることによる欲求不満を右の2ストローク呼吸で解消できる。
  • ターンのアプローチは左手を入水して伸ばしてから始まるので、壁までの距離の調整が容易である。
  • また利き手の左手でひとかきしてからターンを始めるため、アプローチで加速しやすい。
  • 17ではなく16ストロークで維持しようとする意識が強く働く。
50mプールや壁のないOWSでも2ストローク呼吸を間に取り入れることで、苦手な側の苦手意識を減らすことができるか今後テストする。

・水平面上の顔を回す角度で劇的な変化

苦手な左側呼吸が苦手である理由は、
  1. 口に水が入る
  2. 右手ががまんできない
  3. 軸がぶれる(左足が開く)
  4. 耳に水が入る
などであるが、このうち1が深刻である。前回は対応策として口を閉じるタイミングを早くしたが、左右で閉じるタイミングを変えるのが難しい。

今回は水平面上で顔を回す角度を変えてみた。上から見た場合、右側呼吸では進行方向に対して時計の短針で3時を指していると考えると、左側呼吸ではこれまで8時を指していた(やや後ろを向いた状態)。これを9時30分(9時と10時の間)まで変えてみたところ、口に水が入らなくなった。

ただし無意識では後ろを向いてしまうので、意識して顔の向きを変えないとならない。今回の練習ではこれが大きな収穫であった。

・疲れによる泳ぎの変化への対応

前回よりも今回の方が1回に泳ぐ時間が長くなったので、意識が飛びやすくなった。意識が飛ぶとストローク数の増加という形ですぐに結果が現れる。17-18ストロークの割合は1本目が1割、2本目も1割、3本目が6割、4本目は8割である。

完全に別のことを考えていた時間もあったが、それでもストローク数は増加する。空回りを防ぐためには、「一つのシンプルなメッセージ」だけをひたすら意識し続けるのが効果的である。

今回は「手の平にあたる水」をメッセージとして、手の平で感じる水の圧力を意識集中の拠り所にした。一回手の平に圧力を感じれば、それを増やそうとする本能が働く。手の軌跡を伸ばしたり、手の形を意識しながら動かしたりすることで劣化を抑える。


・肩甲骨が石になる?

20km以降足が棒になることで走れなくなることは何度も経験した。今回泳いでいて肩甲骨が固まる感覚が生まれた。これが糖分不足によるものか、乳酸の蓄積によるものか、筋肉の疲労によるものか原因を特定する必要がある。筋肉の疲労によるものであれば、それを回避するための代替手段を導入する必要がある。事象を再現するために2時間程度泳ぐ必要があるかもしれない。




練習後の気分:8

2014年8月22日金曜日

練習の組み立て方

練習の時間が長くなるほど、シンプルな構成にすることが必要である。今は来月の12kmマラソンスイムに向けて、毎日5000ヤードを日課としているが、
  1. 最低限の負荷をかけながら心拍数を下げる泳ぎ:全体の6割
  2. 高い負荷をかけて心拍数を上げる泳ぎ:全体の2割
の2種類を基本として、間に1種類のオプション(全体の2割)を入れている。

1.テンポピラミッド 10x300@1.15-1.30-1.00秒、n/n+1ストローク

ストローク数をコンスタントにするコントロール力、テンポ上昇局面でストローク数を増やさない加速力を磨くことがこの練習の目的。開始時ペース1分37秒が戻りで1.34秒とあまり変化がなかったが、テンポが速くなるにつれてストローク数の増加を抑えることで1分30秒まで上げることができた。

2.ディスタンスピラミッド 2x(50+100+150+200)@0.95秒、16/17ストローク

海で泳ぐレーステンポは0.95秒である。空回りしないようにこのテンポの練習をオプションとして加えることにした。テンポが速くなると無駄に力を入れる状態が増えるので、まずはリラックスした状態でテンポに合わせることに専念し、それに加えて加速を意識する。

3.加速インターバル 3x2x100@1.10-1.00秒、15/14/14/17ストローク

2番目のラップでは最大の加速で14ストロークを実現し、次のラップでは代替手段を取り入れて少ないエネルギーで同じ加速を得ることを目標にする。代替手段の導入に失敗するとストローク数が増えるので、次のセットでは別の手段と試みる。


今日は子供が多く、しかも縦横無尽に泳ぎ回るため困難を極めた(6コースあるがコースロープがない)。来週からは学校が始まるので改善されるであろう。


練習後の気分:7(90分泳ぐことに苦痛を感じなくなってきた)


2014年8月18日月曜日

意識の集中を分散する

ラン:5km

いつものコースをいつものように走った。前回は全行程で140(強度では80%)を越え、さらに6割で160(強度では95%)を越えていた。ところが今回は4kmまで120台後半をキープしていた。最後の1kmで7分ペースに上げても150まで届かず、全行程の平均心拍数は前回より30下がっていた。平均ペースはkmあたり3秒遅いだけである。意味不明であるが、これが普通の人の心拍数なのであろう。2日間泳がなかったので人間に近づいたのだろうか。

スイム:LSD5000yds(5x1000)

左右息継ぎの練習の成果を確認するため、LSDで5000ヤードを泳いだ。

  • 目標心拍数:100台後半~110台前半
  • 永久に泳ぎ続けられそうな泳ぎ方で泳ぐ
  • 3ストロークで1回息継ぎ
  • 1000ヤード毎に給水で最長20秒休憩
  • テンポ1.05秒、17ストロークキープ
  • SwiMP3で音楽を聴く
左右それぞれ3回ずつ息継ぎをするため17ストロークとした。加速を入れれば16にすることは容易なので、17は「丁寧に泳ぐが力は入れない」泳ぎとなる。

前回のLSDでは首の右側や右肩が張ったり、スナップの効かせすぎで左足がつりそうになったりしたが、今回は左右均等に息継ぎをしていたので何も起きなかった。左足の酷使感もなかった。

ペースは5本とも同じで1分37秒であった。およそ10km3時間に相当する。特に負担のあるペースではなかったので、アクシデントや急激な疲れによる劣化がない限りはサブスリー達成が見えてきた。

意識の仕方を分散する

これまでは常にいろいろ考え、観察し、感覚を得ながら修正して泳いでいた。しかし30分以上泳ぐ場合には、このようにしていたら頭が疲れてしまう。そこでランを参考にして、意識を集中するときとしないときの使い分け、および意識の集中時間の短縮を図ることにした。

  • テンポトレーナーのビープ音を聞き続けない:動作に意識を集中し続けることになる。壁をプッシュオフする毎に最初の3、4ストロークだけ合わせたら、あとは音楽にフォーカスを変える。
  • 雑かどうかだけ判断する:感覚基準を鈍くして、雑か丁寧かだけを判断する。雑と感じたら前のめり感や安定感、なめらか感を使って泳ぎを修正する。
  • 他のことも考えてみる:今日の仕事の予定や新しいビジネスモデルなど。
  • フォーカスする場所を集中し、1ラップあたり3~4ストロークだけにする:入水の位置や伸ばす手の方向、頭頂部などを意識する場所を選び、1ラップで1つだけに絞って3~4ストローク泳ぐ間意識して修正する。
  • 瞑想はしない:瞑想するとテンポに合わせられなくなる。スピードを問わない場合は瞑想が必要だがタイム泳には適さない。
上記のように、ざっくりした感覚を使ってたまに意識を集中する技術が必要である。音楽を聴いていると、音楽を聴かずに集中する、音楽を聴く、音楽は耳に入ってくるが別のことを考えるという3つのパターンをつくることができるので、意識の分散がやりやすい。

スピードを落とすことなく意識を分散できるようになれば、長時間を速く泳ぐことができる。1500mを速く泳ぐために練習していたときには考えることのなかったコンセプトである。


練習後の気分:6(7000泳ぐつもりだったが、左側呼吸で水をたくさん飲んで腹痛になったため5000で中断した)

2014年8月15日金曜日

苦手な側の息継ぎを磨く

ラン:5km

最初の上り坂で心拍数が180まで上がり、フラットなコースで140程度まで下がる。その後前日は一定であったが、今日は再び180台まで上がった。さらにその後もほぼ全ての行程で150以上、3km過ぎからは170以上にまで上がる。結局運動強度90%は全行程の6割を越えた。

走っているときは全然きつい感じはしなかったが、心拍数が下がらなかった。原因は不明である。

スイム:5000yds

アップ400、テンポピラミッド10×300@1.15-1.30-1.00秒、加速インターバル16×100@1.15, 1.10, 1.05, 1.00秒とシンプルにした。

これらの練習において共通の課題として、苦手な左側の息継ぎを以下のステップで磨いた。

○ステップ1:問題を発見する

最初に3回に1回および4回に1回で左側の息継ぎを行い、何が問題なのかを観察した。
  • 空気が十分吸えていない(4回に1回では苦しく感じる)
  • 口に水が入る→その水を飲んでしまう
  • がまんの手ができない(水中の手が空回りしている)

○ステップ2:仮説を立てて検証する

水中の動作を観察するため最初は4ストローク1回呼吸にしたが、やはり苦しいので3ストローク1回呼吸にした。

・空気が十分吸えていない→吐き足らない
4ストローク1回呼吸に比べて3ストローク1回呼吸は吐ける時間が減少する。これが苦しさの原因であると考え、特に顔を出す直前の吐く量を増やした。
さらに左側呼吸の期待値を5割に下げて(これまでは6割)、うまくいかないときでもパニックしないようにした。

・口に水が入る→口に空気圧をかけるタイミングを早める
プールで泳ぐときは口を閉じず、開けたままである。息継ぎで空気を吸い終わった直後から口に空気圧をかけて水の侵入を防いでいる。左側は慣れていないせいか下を向いたときに口に水が残っていることが多かった。水が残っていると飲み込むリスクが発生する(約3割)。

対応策として、口に空気圧をかけるタイミングを早めた。圧自体も弱かったようなので、空気を吸い終わったらすぐに口から息を吐き出すようにした。最初は吐き出しすぎて泡を出してしまったが、意識すれば泡を出さずに圧をかけられるようになった。

・がまんの手ができない→力を入れるタイミングを入水に合わせる
息継ぎをしている間に水中の手が動いてしまう。これを防ぐには、(1)水中の手の位置を15cm上げる。(2)わきの下を伸ばして水中の手を前方に固定する。(3)呼吸をしている間はゆっくり動かす。(4)入水する手に合わせて水を抱えて後ろに押し出す。

○ステップ3:リラックスした状態で練習する

ウォームアップの段階から左側呼吸を取り入れた。リラックスした状態で3回に1回呼吸をして、上記の仮説を検証した。ここではストローク数は意識せず、テンポに合わせるだけにした。いずれも意識すればできるが、他に意識が回ると途端に問題として現れる。

○ステップ4:ストローク数やテンポに合わせて調整する

最後にテンポやストローク数を変化したときに息継ぎに影響のないように動作を調整した。

○両側息継ぎの必然性

超長距離を泳ぐと、小さな無理が大きなリスクに変わることがある。先日の6000ヤードスイムで首の右側や右肩が張るのが確認できた。首を使わないで顔をからだと回すことで幾分緩和できたが、さらに長距離を泳ぐときには両側息継ぎは必須となる。

また息継ぎで右手を入水するときに、左足を強くスナップするクセがある。このクセが足のつりにつながっている。このため左右呼吸は足のつりを防ぐ手段としても有効である。


口の中に水が入る問題やがまんできない手の問題など、意識しないと解消できない問題が多い。このため今後の練習ではできるだけ左右息継ぎを取り入れて、無意識で正しい息継ぎができるようにする。


練習後の気分:7

2014年8月14日木曜日

スイッチのタイミングで心拍数を減らす

ラン 5km

前日に比べて心拍数の下がりが良くラクに感じた。データをみると前日と気温、平均スピードはほぼ同じである。心拍数は1kmから2kmの下り-上りで前日160台後半が続いたが、今日は140を上回ることがなかった。その後はほぼ同じ心拍数の推移を示している。

たった4分ではあるが心拍数の高い状態があるのとないのでは、その後の走り方の感覚に大きな違いが出ることがわかった。結果的には前日よりも平均心拍数が1下がり、平均ペースも1秒速くなっただけで大きな違いはなかったが、今日は下がりがちな心拍数を上げるためにスピードを出すような感じであった。

この山がなくなった理由については、前日の6000ヤード泳が関係しているかもしれない。継続的に同じ距離を走ることで仮説を検証する。

スイム 5000yd(練習時間:グロス97分、ネット81分)

水泳はつぶしのきく(距離を練習する必要がない)スポーツであると考えていたが、それは泳ぐ時間が30分程度の世界の話であり、3時間、6時間と泳ぎ続けるのであれば、同じ程度走り続けるランニングのアプローチを参考にすべきと考えた。

従ってこれまで行ってきた、フルマラソンを完走するための練習の考え方を参考にして練習距離やメニューを考えることにする。42キロを6時間で走るために毎日10km(75分)、毎週20km(180分)を練習するのと同じアプローチは、
  • 毎日75分泳ぐ。
  • 週に1回2時間続けて泳ぐ。
  • 週に1回休む。
となる。メニューによって異なるが75分実質で泳ぐのは概ね5000ヤード、120分泳ぐのは7500ヤードである。当面はこれを基本形として、週1回のLSDの距離を3時間(約10km)まで伸ばすことができるかやってみる。

○運動強度を下げるためのスイッチのタイミングの見直し

私の場合ランに比べてスイムは運動時の心拍数が50程度下がるので、乳酸の過剰による筋肉の硬直は心配することはないが、抵抗の大きい水中で6時間進み続けるのに心拍数の面で影響を及ぼしたくない。そこでできるだけ心拍数を減らす練習として10×300のテンポピラミッドを行った。

ポイントは水中の手に力を入れるタイミングである。力を入れるタイミングを入水と同時にすることで、体幹の回転動作を力に伝えることができる。なおその前にキャッチで型を作る必要があるので、水中の手はそれより早いタイミングで動かし始めている。バトンリレーの助走のようなものである。

  • テンポ1.15秒→1.30秒:ストローク数15/16、心拍数90台後半、ペース1:36→1:34秒
  • テンポ1.35秒→1.15秒:ストローク数15/16、心拍数100台前半、ペース1:33→1:32秒
  • テンポ1.10秒→1.00秒:ストローク数16/17、心拍数110台前半、ペース1.30秒
テンポが遅くなる局面では、スイッチのタイミングを注意深くコントロールすることで心拍数も100を切ることができた(運動強度16%)。テンポが1.15秒より速くなると、ストローク数を維持するために入水より前から力を入れざるを得ない。このため心拍数も上がる。

今後このピラミッドの練習では、1.15秒より速いテンポにおいてストローク数をラップ毎に1減らすための力の入れ具合を確定するとともに、余計な筋肉の緊張をとって心拍数を100台前半にすることを目標にする。

○運動強度を上げるための加速インターバル練習

ランと同様に、高い運動強度を間に入れるインターバル練習を行った。2,3ラップ目は14ストローク固定とした。

10×100:テンポ1.15、1.10、1.05秒、(16または15)/14/14/18 心拍数110~140

テンポが同じでストローク数を2減らす必要があるので、最初はやみくもに水中で力を入れてみる。14ストロークで泳げることがわかったら、どの部分でゆるめることができるか確かめながら泳ぐ。


  • テンポが速くなるほど2本のレールは狭くなる。
  • テンポが速くなるほどフィニッシュは弱くなるが、確実になでるようにすればストローク数を減らすことができる。
  • 「ひっかけて強く押す」から「型をつくってなでる」が変わる方向。ただし14ストロークが維持できる範囲で割合を変える。10:0が0:10になるのではない。
  • これらの動作を入れることで90台の心拍数が130~140まで上がる。強度を上げる目的は達成できている。
  • 休みを入れながら20本程度まで数を増やすか、100のインターバルの組合せを繰り返すことで距離を伸ばすかする。

今後は上記のような「運動強度を下げる練習」と「運動強度を上げる練習」を組み合わせることで、ネット90分を越えるスイム練習を続ける。


練習後の気分:8→5(直後は爽快だったが、昼食後に一気に疲れが出た)



2014年8月13日水曜日

LSDスイム6000ヤード

10km以上を泳ぐマラソンスイムは、長時間泳ぐことで発生する問題点を事前に察知して対応する必要がある。初めて走るときには、次のような問題点が発生した。

  • 5kmを越えると:左膝外側と右くるぶしが痛み出す。
  • 10kmを越えると:右膝下側が痛み出す。
  • 15kmを越えると:足がつる。
  • 20kmを越えると:足が棒になる。
  • 25kmを越えると:前に進まなくなる。
  • 40kmを越えると:ぐだぐだ。
これらの問題点の発生時点を引き延ばすために、仮説を立てて検証するプロセスが練習の中心であった。泳ぐときにも、
  • 痛みの問題
  • 心肺機能の問題
  • 乳酸の問題
  • 筋肉の問題
  • 気力(集中力)の問題
が発生すると予見して対策を立てることが必要である。


○LSDスイム 6000

 LSDはLong Slow Distanceの略で、低い強度で長距離を走る練習である。今回のLSDスイムは次のような形で行った。
  • 強度:50%。心拍数は129であるが水中のため115~120程度を想定する。
  • 休憩:1000ヤード毎に給水とキャップ直しのために30秒程度休憩を入れる。
  • デバイス:テンポトレーナーとSwiMP3。心拍計は使わない。
  • 1000ヤードの時間を16分程度と想定して6回繰り返す。
  • 設定テンポ:1.10秒
  • 目標ストローク数(25yd):16~17
 自分の習性として泳ぐときは瞑想するか意識を最大限働かせるかのどちらかになる。今回は距離が長く、意識を集中させ続けることが困難だったため音楽を聴きながら泳いだ。

・最初の1000まで(ペース1分39秒)
 ウォームアップも兼ねていたので前半はテンポを無視してゆったりと泳ぐ。できるだけ目を開けて手の動きを観察するとともに、見えないリカバリー動作や入水動作についても意識を集中して正しい動作を行った。
 後半はキャッチの型を意識して加速を上げた。

・~2000(ペース1分37秒)
 1600を過ぎたあたりから急に空回りが始まり、集中できなくなる。1500mの壁かもしれない。ストローク数18が2ラップ続いたので、テンポを無視して伸びる時間を確保、さらに前のめり感を上げて滑り感を増やす。
 後半は首の右側から右肩にかけて張りを感じた。明らかに息継ぎの影響である。左側息継ぎを入れようとするがゴーグルに水が入るのであきらめる。息継ぎでは首だけ回さないように、首と肩を一体化して回すように意識する。

・~3000(ペース1分37秒)
 スタートでぐだぐだ感が増えたので、なめらか感を上げて美しいクロールを意識した。水面と接触する手の部位を指先に絞り、水面とのインパクトを最小限にする。

・~4000(ペース1分35秒)
 意識が散漫になりがちだったので、音楽に集中するか動作に集中するかどちらかにした。動作に集中するときはできるだけ正しい姿勢や動作を意識した。

・~5000(ペース1分35秒)
 やはり出だしでぐだぐだしていたので、今度は体幹を使って足の位置を上に上げ、前のめり感を増やした。また入水後に手を伸ばすときに体重を乗せて15cmさらに前に伸ばすようにして、滑り感を上げた。
 ストローク数は16に減って快調であったが、残り300あたりから再びぐだぐだになってきたため今度はテンポトレーナーを無視して速めのリカバリーで対応した。肩甲骨または脇の筋肉を使う意識でリカバリーを素早く行う。
 
・~6000(ペース1分33秒)
 最後ということで加速を上げた。キャッチの型を意識して、そのままスイッチで水を抱えた手を後ろに運ぶ。残り200でテンポを無視してラストスパートをかけた。

○総評

音楽を聴いていたことで、意識の過度な集中を避け、集中力を持続することができた。
 また足をつることがなかったが、これは給水(ハイポトニック飲料)をしていたことが大きな理由である。
 ストローク数を減らす動きにおいて、右側の呼吸が終わった後に左足の強くスナップするクセがある。このクセが足のつりのきっかけになっている。まず右足に集中することで左足の余裕をなくし、次にスナップを仕方を変えることで足がつらないようにした。
 差し当たっての問題は右側息継ぎの首と肩の凝りである。練習終了後には何も感じなくなったが、泳ぎ続けるうえで発生を遅らせる必要がある。
 このペースで10km泳げれば、3時間以内で泳ぐことも見えてくる。


練習後の気分:10(昨年5月のココス以来の長距離泳であった)



2014年8月12日火曜日

距離を伸ばしたときの心拍数の変化

○ラン:5km

心拍数は開始直後1分で180に達し、その後3分かけて120まで下がった。ペースは8分程度と非常にゆっくりしていても心拍数は急激に上がる。理由は不明。

その後も7分45秒ペースで目標通りであったが、心拍数160越えのピークが2回発生した。特に2回目のピークは4分程度ピークが続いた。

13分後に心拍数がようやく130台に下がり、その後は130台前半~140台前半で推移している。このときのペースは7分30秒後半~8分である。

気分的にはとてもラクに走っているにもかかわらず、心拍数は非常に高い。これが20km過ぎで足が棒になる原因である。巷の書籍には「走り続ければ心拍数は下がる」と書いてあるが、少なくとも私には当てはまらない。また一般のランナーで実際に下がったエビデンスも見つからなかった。強度=スピード=心拍数の図式が崩れない限り、私のような高心拍の人間はスピードアップできない。

また心拍数が高ければ乳酸が溜まりやすくなる(これは運動強度における乳酸値測定でエビデンスがある)。乳酸が溜まると足が棒になり、走り続けることができなくなる(これは自らの経験。糖分不足ではないことは実証済み)。従って私のような高心拍の人間は長距離走れない。

今後改善できるシナリオは、
  • 同じ運動強度(同じ心拍数)でスピードを上げる
  • 高い心拍数で続けて運動して乳酸が出て足が棒になっても走り続ける根性
ぐらいしかない。前者については筋力を上げることで可能か確かめる。後者については20km超の距離を走り経験を積むしかないようである。キロ8分ペースで心拍数が140を超える人にとってフルマラソンを走るアプローチがあるのならぜひ知りたいところである。こつこつ努力しても目標として見えるのはハーフマラソンまでか。

○スイム:3500yds

距離を次第に伸ばしたときに心拍数がどのように変化するかを確認した。

・3x1000(100+200+300+400)@1.15, 1.10, 1.05秒

前日の練習でテンポだけキープしていると運動強度が下がることがわかったので、ストローク数を15/16に維持した。


  • テンポ1.15秒:ペースは1分31~34秒。心拍数は90台前半。距離が伸びるに従いストロークを維持するために力が入るが、心拍数には大きな影響がなかった。
  • テンポ1.10秒:ペースは1分31秒。心拍数は100台後半。300、400において自分を見失うことがあったが、ペースが落ちることはなかったが、心拍数は110後半まで上がった。
  • テンポ1.05秒:ペースは1分27秒。心拍数は120台まで上がったものの、距離が伸びると逆に心拍数は下がり最後は90台後半で終わった。
テンポが上がるとストローク維持のために加速が必要となり、心拍数も全体的に上がる。一方距離が伸びても16ストローク維持であれば大きな力を必要としないようで、心拍数は安定していた。

心拍数が急激に上がる:泳いでいるときは80~90であっても、壁についた瞬間から心拍数は上がって130~140になることがわかった。壁についてから心拍数を測っても、泳いでいるときの心拍数より5割高くなる点は注意する必要がある。アクアパルスだと直近の計測値を再生することができるので、泳いでいるときはよく聞こえなかった場合でも壁についてから泳いでいたときの心拍数を確認することができる。

今後は以下について取り組む。
  • 「足が棒になる」ランニングの状態はスイミングで発生するのか?→長い距離で実験
  • 心拍数の高さと劣化の度合いの関係→短い距離の反復で実験

練習後の気分:7(心拍数についてまだ不明な点が多い)

2014年8月11日月曜日

一定のリズムで長く泳ぐときの心拍数の変化

ラン 5km
スイム 4000yds

スイム練習の距離を伸ばすために、今週よりランは朝6時から、スイムは午後からと分けて行うことにした。ランによる足の疲れの影響を最小化するメリットもある。

4x1000 リズムとストローク数一定

長距離泳いだときの心拍数の変化を観察するため、以下のようにした。
  1. リラックスして泳ぐ。ストローク数も数えない。
  2. テンポ1.15秒(ゆっくり)。ストローク数は16/17。
  3. テンポ1.10秒。ストローク数は16/17。
  4. テンポ1.05秒。ストローク数は17/18(または17)。
カルボーネン法による運動強度の計算式は
(心拍数-安静時心拍数)÷(最大心拍数-安静時心拍数)×100
であり、これに基づくと各セットにおける心拍数と運動強度は以下のようになる。
  1. 心拍数79~84、運動強度-8~-2%、平均ペース1分43秒
  2. 心拍数95~100、運動強度11~16%、平均ペース1分38秒
  3. 心拍数110~115、運動強度28~34%、平均ペース1分35秒
  4. 心拍数115~120、運動強度34~40%、平均ペース1分33秒
1ではときどき70台前半も聞こえてきたが、90台に達することはなかった。水圧で心拍数が下がるものの、1割を補正しても運動強度は10%に満たない。

2はテンポが加わるので1よりもストロークの維持に集中する必要がある。瞬間的に120を超えることもあるが、90を下回ることもある。

3では意識して加速することで、ストローク数を維持した。エネルギーを使って泳いでいるという実感が得られる一方、ストローク維持に余計な力が入る。

4では最初130台まで心拍数が上がったが、100ヤードを過ぎてからは110台後半で落ち着いた。さらに加速は意識したが、心拍数は上がることがなく後半はかえって下がっていった。最終的には90台後半まで下がった。

○結果の考察

  • ランと比べると、長時間の運動で自然に心拍数が上がっていくことはなかった。ランでは10kmを経過すると10程度自然に上がっていったが、スイムでは逆に下がるケースもあった。
  • テンポに合わせる泳ぎ方では、運動強度が40%以下となり疲れにくくなる。ただしスピードは秒速1m(1500m25分)を下回るので、ここからどこまで運動強度を上げずにスピードを上げることができるかが今後の課題である。
今回胸バンド型の心拍計ウォッチを試したが、全く使い物にならなかった。記録はできないが、リアルタイムで心拍数がわかるFinis製品を使うしかないようだ。

練習後の気分:7(得たい結果が得られた)




2014年8月10日日曜日

普段より水温の低い環境で泳ぐときに気をつけること

準備万端でアルカトラズスイムに参加すべく当日現地まで行き、誰もいないのに驚き登録証の日付を見たら2015年であった。1年以上前のイベントの申し込みを受け付けて欲しくないと思いつつ、せっかく来たので低温スイムを観察しながら行うことにした。

屋内プールは「冷やす機能」を持っていないので、「温める機能」を使わない場合プールの温度は水道の温度に近づく(厳密にはタンクのある場所の室温)。最近のように30度越えが日常的になると、プールの水温も夏は30度以上になる場合が多い。

一方海水は風と気温により夜間適度に冷やされる。最低気温が30度を下回らないということはそれほど多くないので、理論上はプールよりも水温が低くなる。従ってオープンウォータースイムでまず気をつけなければならないのは、「普段泳いでいる環境よりも温度が低い」ということである。この違いは長時間泳ぐほど身体に影響を及ぼす。

○最初の100mで慣れる方法

サンフランシスコの海洋公園で朝7時に泳いだ。気温14度、水温は測っていないがサンタクルーズの16度より冷たく感じた。レースでは舞い上がっていて冷静な観察ができなかったので、何が起きるかを順番に観察した。レースと同様二重キャップ(ネオプレン+シリコン)、ゴーグル、水着(腰だけ)だけで泳いだ。

  1. 足を水に入れる。「冷たい」と感じるのは瞬間で、すぐに「痛い」という感覚に変わった。
  2. ゆっくり入ると痛みが拡がる可能性があったので、三四歩水中で移動してからすぐにドルフィニングで全身を水没させた。ここで刺激を受ける中心が顔に移動した。同じように痛い感覚を得ると同時に、肺が急速に収縮して息苦しくなる。普段は1分程度息を止めることができるが、全身が緊張することで二酸化炭素が一気に体内に溜まり、その結果すぐに苦しさを感じるのであろう。これは溺れている状態に近いのではないか。
  3. 水中でひとかきしてすぐに息継ぎをする。ここで最も大切なのは、息継ぎのときに通常の2~3倍強く息を吐くことである。二酸化炭素を出すこと、肺が収縮して息が浅いので強く吐いてから吸い込むことが目的である。
  4. この段階では身体がパニックしているので、2ストロークに1回の呼吸でひたすら吐くことに意識して泳ぎ続ける。息を吐くときに声帯を震わせるとさらに吐く量が増える。うなり声を出しながら吐いた。
  5. キックはしなくても泳げたが、痛い感覚を和らげるためバタ足にしてみた。全身が緊張しているため足をコントロールすることができず、小刻みにばちゃばちゃしているだけであった。もちろん推進力には貢献しない。
  6. このような状態でしばらく泳いでいると、苦しさが減ってくるのがわかる。この段階で4ストローク1回呼吸に切り替える。足は相変わらず震えているだけである。ここで100m、約2分である。
最初の100mはパニックである。レースであれば他のスイマーとのバトルもあり、低温とバトルとアドレナリンで完全に自分を見失うことになる。そこで一つだけ、「2ストローク1呼吸で声を出しながら息を吐く」ことを提案したい。団子状態になっているときは他の人の後をついていけばよいので、最初の20ストローク程度はサイティングをせず、ひたすら息を吐いて「苦しいという感覚」を除去する。

なおパニックしているときにサイティングをしようとしても、頭を極端に持ち上げてバランスを崩す。さらに口が水面上に出ると本能的に口を開けて呼吸をしようとするので口に水が入る可能性が非常に高い(過去の経験ではほぼ100%)。

最初の100mは息を吐くことだけに集中して、「自分の感覚を取り戻す」ための準備期間に割り当てるのである。

○自分の感覚を取り戻す順番

最初のブイにたどり着き、直線に並ぶブイ(全長約250m)とその先にある大きな目標物を確認し、泳ぎ始めた。4ストローク1回呼吸に切り替えると、呼吸準備および動作に係る時間が短くなり、それだけ感覚や水中の動作に注意を払うことができる。

  • 最初に意識すべきなのは「リラックス感」である。ただし練習と違い、レースでは「ゆったり泳ぐ」ことはすべきでない。全体を弛緩させるのではなく、ストロークフェーズのポイント毎にゆる締めをチェックする。具体的には、最初は入水直前の手首、次はリカバリーの肘、次はキャッチした後の肘などである。
  • 次に「前のめり感」である。ここで何ストロークか頭頂部を水没させてみる。息継ぎやサイティングが続くと頭は上がりがちになる。海水やウェットスーツで下半身が浮いていても、頭が上がると首や背中に不要な力がかかり長時間泳ぐと疲れが生じる。下半身を浮かせるというよりも、首から背中を水面に平行にする目的で頭の位置に注意する。
  • 次に「安定感」である。斜め姿勢で体重を乗せていることができているか確認する。
  • 次に「なめらか感」である。プールで泳ぐときとは姿勢が異なっているので、無理な動きをしているかもしれない。特に肩回り、肩甲骨の使い方に注意してなめらか感を上げる。
  • 次に「水抱え感」である。特に低温では手の感覚が減るために細かく調整することができない。キャッチの型をチェックしたら手の形を維持しながら後ろに動かすことで水抱え感を高める。
  • 最後に「加速感」である。底が見えるプールと違い、透明度の低い海では瞬間的な速度増加が行われているかを視覚で観察することができない。普段からプールで「水を切る感じ」をつかんでおき、それが海で得られているかを確認するアプローチがよい。

○プールと海のテンポの違い


テンポを1.00秒にして往復550mを泳ぎ、さらに0.95秒、0.90秒で泳いだ。低温の海ではプールにおけるテンポとの感覚の差がさらに大きく感じられた。前日の1.30秒~0.95秒のピラミッドと比較すると、感覚的は以下のようになる。

  • 低温スイムの1.00秒=プールスイムの1.15秒
  • 低温スイムの0.95秒=プールスイムの1.10秒
  • 低温スイムの0.90秒=プールスイムの1.00秒(空回り始まる)
海水で泳ぐと普段のプールスイムよりも速いテンポで泳げるのがメリットである。しかしそのテンポで泳ぐフォームが確立されていないと、単に空回りして遅くなるのがリスクである。従って普段のプールスイムでも、プールで速く泳げるテンポよりさらに0.05~0.10秒速いテンポでの練習を加え、海のスイムの準備をする必要がある。

なおテンポを上げると心拍数が上がる。ランで足が棒になる乳酸の蓄積(実際には疲労物質の蓄積の結果を乳酸で測る)が、スイムでも発生する可能性がある。高心拍で泳ぐことで何がいつどのように起きるのかについては、今月の練習で明らかにしたい。


○筋肉の過度の緊張

当初はアルカトラズスイムと同じ1.5マイルを泳ぐ予定であったが、心臓周辺に違和感を感じ始めたので1マイル1.6kmを泳いで終わりにした。シャワーも着替える場所もトイレもないので、充電式シャワーポンプと飲料タンク(出発時お湯を充填)でシャワーを浴び、駐車場で着替えた。

前週のサンタクルーズでは泳ぎ終わった後に飲もうとしたココアがコップから半分以上飛び出すほど手が震えていたが、今回は泳ぎ終わってすぐに暖かいシャワーを浴び、さらにすぐに着替えたので震えは5分程度で収まった。

自宅に戻ってから極度の疲労感に襲われた。感覚的には3倍泳いだときの疲れである。翌日も起床直後は筋肉痛になっていた。理由として低温スイムで身体が緊張していたことが考えられる。加速のために筋肉を使ったのではなく、ゆるまることなく硬直する状態が続いていたのであろう。

この筋肉硬直による疲労は、トライアスリートやマラソンスイマーにとっては大きなダメージとなる。硬直は精神的な緊張からももたらされるので、泳ぎが苦手なトライアスリートは「苦手だ」と思うだけで疲労することになる。
  • 普段の練習するプールより低い温度
  • 普段は使わないウェットスーツでの違和感のある動き
  • 苦手意識
  • レースがもたらす緊張感
  • バトル
いずれも筋肉硬直をもたらす要因である。最短の解決策は「慣れ」と「意識の集中」であり、経験を積むことができない段階ではシミュレーションをできるだけ行うことが必要である。


練習後の気分:7(当日現地に行くまで気がつかない段階で自分にガッカリであったが、気を取り直して上記のような収穫があったことで良しとする)

9月にもアルカトラズ練習があるので、できれば参加する。




2014年8月8日金曜日

レース前日の練習の考え方

前々週のフルマラソン、前週の3.2km低温スイムに続いて明日はアルカトラズスイムである。今日はレース前に適した練習を行った。

○アルカトラズスイムとは

クリント・イーストウッド主演の映画(あるいはニコラス・ケイジとショーン・コネリーの映画)の舞台になった「アルカトラズ島」からサンフランシスコの海洋公園まで泳ぐ。アルカトラズ島はサンフランシスコからわずか2.4kmの距離にありながら、1960年代まで脱獄不可能な刑務所として使用されていた。

フィッシャーマンズワーフから見ると、本当にすぐ近くに島がある。なぜこの島から泳いで逃げられなかったのか(脱獄者のうち7人が溺死または行方不明)不思議に思うが、夏でも水温14~16度と低く、潮の流れも非常に速い。オープンウォータースイムにおいてはチャレンジグなコースである。

いくつかのグループがアルカトラズスイムを実施しているが、いずれもアルカトラズ島近くでフェリーから海に入り、海中からスタートする。潮は東から西に流れるので、西寄りを目指すらしいがあまり西に寄ると今度は西側に流れるらしい。

○前日の練習の考え方

当日レースで泳ぐ時間が60分未満であれば、スイムはペースではなくスピード指向になる。このため前日の練習もスピード感覚を確認することが中心になる。

特に今回は日曜日の低温スイム以来風邪気味で泳がなかったので、速いテンポにおいて水抱え感を維持するための練習を行った。

  • アップ200:いつもの半分、まあなと加速感50ずつ
  • 10×100:テンポピラミッド@1.15秒→1.30秒→1.00秒 14/15ストローク
  • 2×100@0.95秒 15/16ストローク
  • リラックス100+サイティング練習
合計:1500ヤード(グロス29分、ネット21分)

速いテンポで空回りしないようにするには、まず遅いテンポでストローク数を確実に減らし、テンポを次第に上げながらストローク数を維持する必要がある。翌日に疲れを残さないように、全力の7割程度の力を使いながらストローク数を維持した。

最後にレーステンポである0.95秒で空回りをしないことを確認して終わりにした。スケーティング姿勢でわきの下を伸ばす方向、キャッチの手の形と中指の向き、なで始めの肘の位置、フィニッシュの場所などを速いテンポのときにどこにすべきかを記憶して終わりにする。

最後はリラックスしながら泳ぎ、サイティングの練習を加えた。おそらくブイがなく、目標物もあいまいな状態で泳ぐことが考えられるため、ドラフティング用のサイティング(前の人との距離を維持するための確認)を練習した。

海洋公園は着替える場所もシャワーもないので、携帯型シャワーは購入した。ただし公園に置きっぱなしになるので盗難が心配である。




2014年8月7日木曜日

低温スイムの世界にようこそ

前週のサンフランシスコフルマラソンで完走して、6時間運動することができたことを確認した。
6時間走れるのであれば6時間泳げるだろうという仮説を立てて、来年2月のロットネスト海峡ソロスイム(19.7km)への参加準備を始めた。

○海峡スイムの準備を開始

これまでオープンウォータースイムの経験はレースを含めてほぼグアムに限定される。グアムは、
  • 波がなくうねりも少なくとても静か(ココス湾横断を除く)
  • 水温も気温も非常に高い(30度前後)
  • 海の透明度が高い
という理想的な環境である。一方海峡スイムでは、

  • うねりが高い
  • 水温が低い(25度程度)
  • 透明度が低い

ということで環境が大きく異なる。また10kmスイムを4時間15分以内で泳ぐ必要もある。ロットネスト海峡スイム事務局では、海峡スイムの準備として、海での10km大会参加(日本では湘南)、さらにボートについて泳ぐ、10数km外洋を泳ぐなどを推奨している。しかし残念ながら日本に行く予定がなく、またOWSの経験も9~10月のグアムだけになってしまい、感覚がつかめないまま本番に入ることになる。

これでは非常にリスクが大きいため、今月および来月に可能な限りOWSの大会や練習会に出ることにした。さしあたってサンタクルーズで2マイル3.2kmのレースがあったので、それに参加することにした。サンタクルーズはサーフィンで有名だが、寒流のため水温は夏でも15~16度である。

○水温16度の世界

Cruz Cruiseレースは米国マスターズスイム準拠の大会であり、泳ぐときの格好によってカテゴリーが分かれる。
  • カテゴリー1:水着のみ。
  • カテゴリー2:ウェットスーツやラッシュガード可。
なおどちらのカテゴリーも、キャップは二重およびネオプレン製が許可されている。今回は低温スイムに慣れる必要もあったので、水着のみで挑戦することにした。

以前トライアスロンを視察したときに足を水に入れたところ、「痛い」と感じてすぐに逃げた。水温は14~16度であり、いきなり水着で本番を迎えるのもリスクがあったため前日はウェットスーツ(ノースリーブタイプ)に腕のガードを着けて泳いだ。

ネオプレンのブーツを履いていたので顔をつけるまでは問題なし。顔を水につけたところ肺が閉じて息ができなくなった。また水が汚く、前に伸ばした手も見えない状況であった。水の冷たさと前がみえないことで少しパニックになったが、目をつぶって毎回呼吸することで気持ちを落ち着かせた。

息継ぎがラクにできるようになり、4ストローク1回にリズムを変更したところで手の平に冷たさによる痛みを感じる。しかしそのうち麻痺してきたのと、からだが暖まってきたことで問題なくなる。

水中で前が見えないとどうしてもサイティングを頭を上げがちになる。頭を上げすぎると口が水面上に出てしまい、本能的に口を開けて呼吸しようとし、水を飲むことになる。水中で前が見えないときほど、前のめり感に敏感になり頭を突っ込むべきである。

冷たさに慣れ、うねりへの対応もわかってきたので20分程度で終了する。ホテルまでウェットスーツのまま歩いて帰った。

○気温15度水温16度の世界

当日朝はゆっくりで8:30スタート。ブイ設置に手間取り実際には9時近くのスタートであった。スタートに並ぶまでは軽く身体を動かしてコア温度を上げたものの、スタートに並んでから実際にスタートするまで20分以上あり、気温15度のなか水着1枚は非常に堪えた。

ウェットスーツなしだったので冷水が身体にどう感じるか心配であったが、胴体は顔や手ほど冷たさを感じないようで、ショックは昨日と同じ程度であった。100m程度泳いで慣れてきたところで、後をついて泳ぐ人を決めてほぼ最後までドラフティングして泳いだ。全体的な方向が合っていると判断したら、あとはその人についていけばよいだけなので大変ラクであった。

前半は余裕であったが、後半は身体の冷えと疲れから動きが鈍くなり、最後300mあたりからは足がつってしまった。足はほとんど使っていなかったが、最後のスパートができない状態のままゴールした。

記録は54分であった。当初は60分を目標にしていたので、ドラフティングのおかげで目標を大幅に上回るタイムを出すことができた。今後は当面の目標を10km3時間切り(サブスリー)として、練習内容をデザインすることにする。