2016年7月2日土曜日

サンフランシスコでマラソンスイムを2回泳ぐ

スイム 10km

サンフランシスコ湾で開催されたマラソンスイムイベント、Bridge to Bridge Swimに参加した。2週間前に引き続いて参加したことで、いろいろ学習することができた。


Bridge to Bridge Swimイベントの概要

サンフランシスコのダウンタウンの北側に位置するGolden Gate Bridgeから、東側にあるBay Bridgeまでの6マイル(9.6km)を泳ぐ。船から飛び込んで水中からスタート、ゴールは船に係留されたブイにタッチする。

このマラソンスイムの特色は、ものすごく速い潮の流れである。平均速度は100m1分を切り、100mの世界記録46秒を上回る速度で泳ぐこともある。

水温は16度で、平年並み。ウェットスーツ着用者は50名のうち8割以上。私を含めて水着で泳ぐ人は意外と少なかった。

2回のイベントの比較1:コンディション

前回は晴れて穏やかな海の中をボートが進んでGolden Gate Bridgeに向かっていったが、今回は波が荒く、水しぶきで船上の人もびしょ濡れであった。うねりの高さは50cmはあった。天気も曇りで寒く(気温14度)、思いっきりやる気がなくなる。

この波は風が起こしたものだが、その風が追い風だったことがキャプテンからの説明でわかる。前回は後半追い潮だったものの向かい風でうねりが発生して、かなり混乱した。今回は泳いでいて「波に乗っている」感覚が得られるほど、後ろから前に動いていることがわかった。

スムーズな追い風のうねりだったが、これを横切る段階になってかなり苦労した。3分の1を過ぎて岸に近づいた頃には少し収まったが、残り3分の1でまたうねりが大きくなった。

自分のからだが縦に45度は傾くぐらいのうねりであったが、前回に比べてかなり冷静に対処できた。うねりの中で泳ぐには、以下のようなポイントが有効である。

  • うねりがどの方向から来ているか確認する。
  • うねりが後ろから来ている場合は、うねりのピークでサイティングできるようにタイミングを合わせる。それ以外のときは前を見ても何も見えないので首をゆるめて下を向く。
  • リカバリーの途中と手を入水するときで水面に対するからだの傾きが異なる。入水した手で水をひっかけることができるように、入水するときの水面の角度に合わせて手の入水角度を調整する。
  • うねりが真後ろから来ない限りは、うねりを越えると方向がぶれる。足を強めに打ち、伸ばした手に体重をかけてエッジをかけることで姿勢を安定させる。
前回はからだが立ったときに手を入水して、わけのわからないところに手が伸びてしまい水を抱えることができなかった。今回はどのような姿勢においても自分の座標に基づいて手を動かしていたので、前回よりも水を抱えて前に進む感覚が得られた。

2回のイベントの比較2:コース取り


前回と今回のコースを比較する(黄色が前回、赤が今回)。前回は沖に出すぎたので、今回はできるだけ岸に近い位置を泳ごうとした。

結果としては思い通りになっていない。この理由として、

  • 海洋公園に近づくにつれて内側に入ろうとしたが、外側に押される流れに乗ってしまった。
  • 右手に軍艦が見えたら岸ぎりぎりを泳ぐ計画だった。実際そのようにしたつもりだったが、やはり沖に流されていた。3点測量ができなかったので自分が外側に動いていることがわからなかった。
  • 最後の直線もかなり外側にふくらんだ。このときもゴールより100m以上手前のビルを目指して泳いでいたが、ここでも外側に押されてしまった。
今後コース取りを改善するには、一度かなり内側に入って泳ぎ、後ろの景色と前の景色を比較する必要がある。大きな目標を目指して泳いでいても、横に流されているとわからない。実際には泳いでコイトタワーが全く動かなかったで疑問に思っていたが、これは横にながされていたと推測される。真横の景色の動きで流されているかどうかチェックすることも大切である。

結果:13分速く泳ぐ(12.5%のスピードアップ)

潮の流れや風の向きもあるが、前回より110m長く泳いで13分速くなったので、実際に速く泳ぐことができたのであろう。

潮の流れや風向きが貢献したのは間違いないが、集中して泳ぎ続けることができたことが非常に大きい。息継ぎをしながらまわりの景色を冷静に観察することができただけでなく、前回よりも高いうねりの中を泳いでいてもパニックになることがなかった。最後の直線コースになったときは、「もう終わり?」と思ったぐらいである(実際にはそこから長かったが)。


何が起きるかわからず、同じように泳ごうとしてもそうならないのがオープンウォータースイムの醍醐味である。今回は心拍数を測ることもできたので、今後長距離泳における心拍数と泳ぎ方の変化についても観察して戦略に加える。