2015年11月7日土曜日

OWSで速く泳ぐためには

本日アルカトラズスイムを完泳した。この季節にしてはめずらしく早朝から晴れて、絶好のスイム日和となった。気温は9度、水温は16.7度でこの時期としては暖かい。

タイムは27分で、8月の初トライアルのタイム53分の半分にまで縮めることができた。今回はなぜ半分の時間で泳げるようになったのかについて考察する。

○泳ぐ距離が短くなった

OWSで速く泳ぐための「最短距離」は、最短距離で泳ぐことである。スタート地点が異なるために厳密に比べることはできないものの、移動軌跡を見るとその違いは明らかである。


8月は約3kmを泳ぎ、53分かかった。今回は約1.6kmを泳ぎ、27分であった。スタートからゴールまでの直線に、どれだけ自分の泳ぎを近づけるかが大前提である。

○潮の流れを考慮する

8月に初めてアルカトラズに挑戦したときは、潮の流れを調べず、目標物もどれにするかよくわからず、自分が流されているのかどうかもわからなかった。

今回は潮の流れを事前に確認したところ、弱いFlood(外洋から内湾に流れ込む)であることがわかった。グラフは上が潮位表、下が潮流表である。スタートが15分遅くなったので、次第にFloodの流れが弱くなることを予想した。


これまで2回泳いでいるが、毎回潮の流れは異なる。またコース上潮の流れは変わる。従って潮流表を絶対視するのではなく、実際にどのような状態か確認しながら潮流の時間変化を参考にするのがよい。

○うねりへの対応

最初の4分の1、半分から4分の3のあたりでうねりが強くなった。エッジをかけるだけでなく、うねりを越えたらすぐにサイティングをして方向を確認しなければならない。今回も50cm以上のうねりの後はからだが常に左に回っていた。移動軌跡を見ると、半分すぎにジグザグしているが、これはうねりの後にサイティングしないで泳ぎ続けた結果である。

○動作を止めない3点測量

前回のアルカトラズ往復では、動きを一旦止めて後方を確認していた。今回は速く泳ぐことも目的であったため、動きをできるだけ止めないで後方→前方確認を行った。毎回確認すると左に押し出されていたので、進行方向を目標から30度右にして泳いだ。

○バトルに注意

今回は最初だけでなく、終盤でもバトルになった。おそらく良いコース取りをすると同じような場所で泳ぐことが原因であろう。10歳と13歳の女の子(いずれも十数回のアルカトラズスイム経験者)とバトルになってしまい、しょうがないので道を譲り、遠回りした。

○ディセンディングが基本

前日のペース練習が非常に役だった。前半はテンポを抑え、日頃は練習できないうねりの中で水中の手のグリップ力を高めた。中盤ではテンポをやや上げて、フィニッシュまでの水中動作全体を効率化した。後半はテンポをさらに上げて、前日と同じような速いペースを実現した。

最初は何人かに抜かされたものの、中盤、後半と次第に追い抜く人の数が増えて自分のスピードが上がっていることが実感できた。


今週は16度の水温でアルカトラズを泳いだが、来週は30度の水温で1日に5種目(3.8km、1.9km、1500m、750mと400m)を泳ぐ。水温が倍違うとどうなるかが興味深い。

2015年11月6日金曜日

レース直前に行う効率の良い練習

米国内で参加する今年最後のオープンウォータースイムイベントが、アルカトラズスイムである。
今年は人生で最も泳いだ一年であり、オープンウォータースイムの次のような技術を新たに磨き、実践することができた。
  • 潮の流れを判断してまっすぐ泳ぐ技術
  • うねりの中で姿勢を安定させ、前に進む技術
  • 泳ぎ方を変えることで、変化する状況に対応する技術
  • 低温の中で長時間泳ぐ体質と技術
アルカトラズスイムは2.4kmと距離としては長くはないが、潮の流れが非常に速く、うねりも大きいためコース選定とうねりへの対応、さらに低温(16度程度)対策がポイントである。

今年はこれまで2回アルカトラズスイム(1回は片道、もう1回は往復)を経験しているので、今回はスピードをどこまで上げることができるか挑戦する。

○ペース練習に特化

普段は90分、5000ヤード泳いでいるが、前日なので30分程度で切り上げたい。そこでテンポトレーナーの新しいモードを使って、スピードアップに特化した新しい練習を試みた。

これまでテンポトレーナーは、ストロークに合わせて音を鳴らすモード1や、ランニングや自転車で使う1分あたりのビープ数を設定するモード3を使っていたが、ラップで泳ぐ間隔を決めて鳴らすモード2を使う。1ラップを25秒で泳ぎ続けるのであれば、25秒に設定する。

翌日のレースでの目標は100m1分30秒ペースなので、25mでは22.5秒、25ヤードでは10%カットで20秒となる。そこで以下のように練習した。

  1. 200m@24秒(OK:ビープ音に追いついていた)
  2. 200m@23秒(OK:ビープ音に追いついていた)
  3. 200m@22秒(OK:ビープ音に追いついていた)
  4. 200m@21秒(OK:ビープ音に追いついていた)
  5. 200m@20秒(OK:ビープ音に追いついていた)
壁を蹴る直前にテンポトレーナーの上のボタンを押してタイミングをリセットし、Garminをスタートさせる。最初はゆっくりなペースなので、壁を蹴ってひとかきするあたりでビープ音が3回聞こえる。この段階では速く泳ぐことが目的ではない。次の順番で意識した。
  • ストローク数を減らす。(14/15~15/16)
  • 水中の手の動きを正確にする。
  • 水上と水中の手の動きをつなげる。
  • ゆるめる場所と時間を増やす。

○過去最速ペースを達成

次にどこまで速いペースで泳げるか試した。ここではビープ音が鳴るまでに壁に着くように速く泳ぐことを意識した。
  1. 100m@19秒(OK:ビープ音に追いついていた)
  2. 100m@19秒(OK:ビープ音に追いついていた)
  3. 100m@18秒(OK:ビープ音に追いついていた)
  4. 100m@17秒(OK:ビープ音に追いついていた)

19秒ラップの2回目で、泳ぎのモードを変えてストローク数を17/18に上げたところビープ音にラクに追いつくことができた。

結果(下表参照)として、練習開始時の1分29秒ペースから最後は1分11秒まで上げることができた。これまでテンポピラミッドのテンポ1.0秒付近で1分15秒を出したことがあったが、練習でここまで速く泳げたのは記憶にない。

ラップタイムを7秒も速くするため、泳ぎ方を変える必要がある。泳ぎ方を変える練習を十分に行ってこそ、このインターバル練習の威力が発揮されると考える。

なお通常世間で行われるインターバル練習と異なり、休憩時間はほぼラップタイムに固定した。速く泳ぐことで長く休めるという練習に意味はない(再現性が低い)と考えるからである。インターバル練習をするのあれば、ラップタイムをインターバルとして設定する方が効果があると感じた。




練習後の気分:10(パズルの新しいピースを見つけた)