2015年8月28日金曜日

瞑想スイムで集中できる時間を倍にする

スイム 6200 yds

日曜日にアルカトラズ往復4.2kmを泳ぎ、1日空けて6000,1400, 6000と泳いで今日も6000超を泳いだ。5000までの練習では通常の練習と大きな違いはないが、6000を泳ぐと様々な問題が発生する。

○6000を泳ぐときの問題点

10×600、テンポ1.10~1.25~0.95秒、究極水着着用で泳ぐ。5本目を過ぎたあたりから脳が腫れてくるのがわかる。それと同時に今泳いでいること以外の考えが次々と頭に浮かぶ。テンポ1.10秒まではフォーカルポイントに合わせて泳げるが、残り3本はテンポに合わせることもできず、ひたすら根性で泳ぐ状態になる。

 もう一つは首の痛みである。顔で水を押すことで首に力が入っているせいか、残り3本では首がかなり張っていた。息継ぎのために顔を回すときに痛みが出る。

 脳の疲れや首の痛みなどで、意識を集中することができず、力任せに泳ぐようになっていた。これでは5時間、6時間泳ぐことができないため問題である。

○瞑想スイムを取り入れる

そこで今日は瞑想スイムを取り入れて、集中力がどのように変わるか観察した。瞑想スイムは以下の手順で行う。
  1. スタートしたらフォーカルポイントを意識して4~6ストローク泳ぐ。
  2. 泳ぎながら目を4分の3閉じる。
  3. ビープ音と音楽に集中する。
  4. 聴覚に集中できた段階で、フォーカルポイントに合った触覚を決めて、水の中で手を感じるかどうか確認する。
  5. 触覚に集中して、正しくできていることを確認したら意識を飛ばす。
  6. 3m手前になったら意識を戻して、ターンする。
 最初は意識を飛ばすのにプールの半分ぐらいまでかかったが、慣れてくると7m程度で意識を飛ばし、「正しい動きを淡々と行う」状態になる。

○瞑想スイムの効果

  • 距離が短く感じる。10回中8回のセットで、考えていたよりも多くのラップを途中段階で泳いでいた。短く感じる分つらさも減った。
  • 頭がリラックスできる。これまではテンポが速くなると動作を速くするだけで精一杯であったが、今回は最後まで観察や修正をすることができた。
  • からだがリラックスできる。特定の場所の触覚に集中すると、それ以外の部分でリラックスできることがわかった。疲れにくい泳ぎにすることができる。

今回は同時に「あごと首の間隔を息継ぎで一定にする」を実施した。首を伸ばした状態で顔を回すので、これまでより早く口が水面上に達する。首の疲れはほとんど起きなかった。

 いろいろ考えながら泳ぐと、脳が働くのは1時間が限界のようである。視覚をほとんどなくし、フォーカルポイントに合った触覚だけをチェックするだけなら、脳への負担は非常に少ない。感覚的には脳の働きは5分の1以下になった。それだけ余裕が増えたため、距離が増えても、テンポが速くなっても対応できるようになった。これで8000はいけそうである。

 OWSではサイティングをしなければならないので、プールのように瞑想することができない。サイティングをしながら瞑想する方法がないか、週末のサンフランシスコ湾のスイムで試すことにする。
 

2015年8月27日木曜日

マラソンスイムの準備をする

 9月27日の初島熱海横断スイムまで残り1カ月となった。この1カ月間でどのような練習をすればよいのか仮説を立て、実施する。

○初島熱海横断スイムの泳ぎ方

初島から熱海までの約12kmを泳ぐ(右図の右側から左側へ)。今回は大潮で干満の差が最も大きく、従って潮の流れも一番強くなる。

 出発は8時を予定している。干潮の午前10時半までは引き潮なので、スタートから2時間は南に流されることになる。北北西、場合によっては北の真鶴半島を目標にして泳ぐかもしれない。

 昨年も最初の1時間は苦労しており、今年は時間的にその倍、潮の強さも大潮で大きいことを考えると、チーム泳はかなりのスピードを出すことを覚悟する必要がある。

 そこでチーム泳では次のようなペース配分を設定した。

  1. 1000mのレースのペースで20分泳ぐ(運動強度10中8)+60分休憩
  2. 1000mのレースのペースで15分泳ぐ(運動強度8)+45分休憩
  3. 1500mのレースのペースで15分泳ぐ(運動強度7)+45分休憩
  4. 1500mのレースのペースで15分泳ぐ(運動強度7)+45分休憩
  5. 3000mのレースのペースで15分泳ぐ(運動強度6)+45分休憩
  6. 3000mのレースのペースで15分泳ぐ(運動強度6)

 ここで1500mのペースは1500mのベストタイム÷15、1000mのペースは1500mのペースを5%速くしたもので、3000mのぺーすは1500mのペースを5%遅くしたものである。

○ソロスイムの練習内容

単純に12km泳ぐのであれば、半分の距離の6kmを週3回程度、75%の9kmを週1回やれば安心である。しかし今回はチーム泳とスピードを合わせるため、6時間近く泳ぎ続ける必要がある。また行程の3分の1は強い向かい潮になる。また日本出張後はレッスンもあり泳ぐ時間を確保するのが難しい。

 これらの要因を考えて、以下のように今後1カ月を練習することにした。米国内の練習では基本的に究極抵抗水着を装着して負荷を上げる。

  • 8月23日の週:6000ヤード(5.4km)×3回
  • 8月30日の週:8000ヤード(7.2km)×3回、5kmOWS×1回、6.5kmOWS×1回
  • 9月6日の週:10000ヤード(9km)×3回、6.5kmOWS×1回
  • 9月13日の週:6000ヤード×3回
  • 9月20日の週:60分泳×1回、30分泳×1回
 週5回は泳ぐこととし、上記目標値を泳ぐ日以外は3000~4000程度の軽いメニューにする。

 当初は自転車も取り入れることを考えたが、ここで異なる筋肉がついても困るので水泳のみに集中する。

 6000ヤードをすでに2回実施しているが、1時間を過ぎると頭も体もぼやけてくる。今回の練習中に、2時間意識を集中させたまま泳ぐことができるようにしたい。


2015年8月24日月曜日

アルカトラズ島までを往復する


 8月23日にアルカトラズ島往復スイムを泳ぎ、1時間14分で完泳した。8日のレースの反省に基づいて準備をしてきたが、その準備がどのように活かされるかを確認する場となった。

○アルカトラズ島往復スイム Touch n' Goとは

今回のレースは海洋公園からスタートして、アルカトラズ島まで泳ぎ帰ってくるというハードなもので、サンフランシスコ湾のレースとしてはBtoB(ゴールデンゲートブリッジからベイブリッジ、約10km)、アルカトラズ島周回往復スイムに次いで難しいとされている。ただしBtoBは追い潮で泳ぐので距離は長いがスピードは速い。コース取りを考えるとアルカトラズ島往復の方が難しい。

○2週間前のアルカトラズ島レースの反省

最大のミスは「ナビゲーションが不十分であった」ことである。そこで今回は以下を準備・当日の方針とした。
  • 潮位や潮の流れを勉強し、戦略を立てる。
  • 泳ぐときは後方確認して自分の現在位置を知る。
  • 冷静にギアを変えて、速く泳ぐレースペースを作る。

○潮位と潮流

潮位表によると、ゴールデンゲートブリッジの潮位は7:49に満潮を迎える。私が加入したDolphin Clubでは潮位表や潮流表の見方についての詳しい資料を配布しており、それによるとアルカトラズ島では14分遅れ、8:03である。スタート予定時刻から90分を色塗りしている。

 一方潮流表もウェブで調べることができる。下のグラフはアルカトラズ島近辺の潮流予測で、Flood(沖合から内部に流れ込む状態)が次第に減り、8:39にSlack(潮のない状態)になることがわかる。


 潮流は干満の差によって発生するので、このように30分程度のタイムラグがあることが勉強してわかった。以上より、
  • スタート直後は左から右に流れるFloodだが速度は0.5ノットと比較的穏やか。
  • 次第に流れは弱くなり、ゴール近くでSlackになる。
ということがわかるので、
  • 行きはやや左を目標にする。どの程度左にするかは当日の折り返し船の位置や他の経験者の話で決める。
  • 帰りはほぼまっすぐ。
という基本戦略を立てた。

○スタートから折り返しまで

参加人数は20名足らずで砂浜からスタート。水温は18度程度。水着で参加。
 海洋公園内では右に流されることは経験上知っているので、左の目標物に合わせて泳いだが左に行きすぎた。いつもより流れが弱かった。

 今回はペースも意識していたので、先頭集団にできるだけ追いつくようにした。水中の手の軌跡をからだに近づけ、スイッチのタイミングを変えることでテンポを上げた。

 海洋公園を出てからは、船が島の中央にあると想定して島の左端を目印にして泳ぐ。10分程度泳いだ段階でやや左に流されていることがわかり、島の中央部左にある貯水塔に目標を変更して右寄りに泳いだ。左から右に流される予想だったが、思っていたよりも流れが小さい。

 その後は5分おきに後方の高層マンション2棟を見て自分が流されていないかどうか確認した。後ろのビルと前の貯水塔を結び、自分がどの程度離れているかを見るとほとんど変わらない。コース通り泳げていることで安心してスピードを上げた。

 島にかなり近づいたものの、折り返し地点近辺にあるはずの船が見あたらず、少しあせる。想定していた場所よりもかなり200m程度左にあったようであるが、この方向修正にかなり手間取った。また島に近づくにつれてこれまでにない冷たさと潮の流れを感じた。局地的に潮の流れが変化することがわかった。ようやく船を見つけてからが非常に長く感じた。船が自分から遠ざかっているよう見えて「船が逃げている!」と思ったが、結果を見ると自分が流されているだけであった。

 ついに船に到着してブイにタッチ。この時点で33分。制限時間が45分で、2週間前のレースでは51分かかっていたので制限時間内に到着できるか非常に不安であったが、余裕で折り返すことができた。

○折り返しからゴール

制限時間内に到着できることは確定したので、まっすぐ泳ぐことにさらに意識を高めることにした。サンフランシスコ側は様々な目標物がある。まずは直線距離で目標物となる2棟の高層マンションを目指す。
 ところがライフガードから右側に向かって泳げと指示が出た。予定ではもう少し時間がかかって潮の流れが弱くなっているはずだったが、予定より早く折り返し地点に到着したので左に流されていたようである。指さす方向を目指して泳いだが、結果を見るとここで右側に寄りすぎたようである。

 その後は3分毎に前後の目標物を見て現在位置を確認した。後方の島の中央部を目標物にしたが、次第に見えにくくなりあいまいになったことは教訓とする。

 想定してコースより50m程度右にふくらんだ状態で海洋公園に入る。この後も流されることを想定して右寄りに泳いだが、実際には流れが弱かったので途中でまっすぐ泳いでゴールした。

 記録は1時間14分、前半2.12kmで33分、100mペース1分33秒、後半2.09kmで41分、100mペース1分56秒、平均ペース1分44秒であった。

 後半は距離が長かったかと思ったが、行きの島付近で流されたことと相殺されて後半の方が距離が短かった。100mペース1分33秒と非常に速いペースで泳げたことは成果であったが、後半は息切れした可能性が高い。

 実際に泳いだコースを2週間前と比較する(左が今回、右が前回)と、明らかに改善されてまっすぐ泳げている。前回のスタートと今回の折り返し地点は異なるが、行きのタイムで18分(35%)、帰りのタイムでも10分(20%)速くなった。より正確なコース取りで、泳ぐ距離が短くなったことが速くなった主な原因である。


○今後の課題

  • ペースの配分:後半は前半に比べて24%劣化した。これはライフガードが減り(行きと帰りでばらける)、前後方向確認の頻度を増やしたこともある。ただしテンポが遅くなったことは自覚できたので、テンポが遅くなる前にギアを変えて劣化を抑える必要がある。
  • ライフガードのアドバイスの解釈:ライフガードのアドバイスが「実際に進むべき方向」なのか「目標物にすべき」なのかを判断する必要がある。これまで2回の経験では、「目標にすべき」対象物を指示しており、その方向に進むと行き過ぎることがわかった。自分の泳ぎが潮の流れに強くなっているので、今後はアドバイスの5割程度に方向を弱く修正する。
  • うねりを超えた後の向きの修正:今回は正しいコースを泳いでいる自覚があったので、うねりを超えた後に自分の方向が変わっていることがよくわかった。50cm以上のうねりであればほぼ100%向きが変わる。うねり後には必ずサイティングして方向を確認する必要がある。目標物がなく方向確認ができない伴泳型スイムの場合は要注意である。
  • 潮位表が全てではない:海洋公園内に代表されるように、局地的な潮の流れは発生している。アルカトラズ島付近ではEbb(右から左)の流れがあった。また途中でも何回か想定とは異なる位置に自分がいるときがあった。このときにオーバーリアクションして方向を急に変えるのではなく、潮がどちらに流れているかを確認してから緩い方向転換を行う。目標物自体を変える必要はなさそうである。

ロットネストの教訓に基づくスイム改造計画はこれで一段落とする。来月は初島熱海横断スイムで5時間を泳ぐので、持久力や持続力を重視した練習に切り替える。

2015年8月8日土曜日

アルカトラズ島からの脱出

 8月8日に初めてのアルカトラズスイム「Alcatraz SharkFest」に挑戦し、完泳した。

○アルカトラズスイムとは

サンフランシスコから約2.4kmの距離にあるアルカトラズ島は、かつて刑務所として使われていた。低温であることや潮の流れが非常に速いため、刑務所から脱出してもサンフランシスコには着けないとされ、過去に3人組が脱獄に成功しただけである。

 アルカトラズスイムはアルカトラズ島付近までボートで行き、ボートから飛び降りて水中スタートして海洋公園まで泳ぐ。距離は2.4kmでOWSとしては短距離なのだが、潮の流れが速いため難コースとされている。サンフランシスコ湾で泳ぐスイマーには、登竜門として位置づけられている。

○レースのための練習

 40~50分のスイムだが、すでに毎週末に1時間以上サンフランシスコ湾で泳いでいるので低温持久力は問題なかった。

 速い速度を長時間維持するために、究極水着の使用割合を距離ベースで75%まで上げ、セット単位を200から400ydに伸ばした。

○レース当日

 このレースには昨年申し込んで、昨年実施するものと思い込んでサンフランシスコに来たら誰もいなかったという苦い思い出がある。

 今回は近くのホテルに前泊して当日を迎えた。朝行ってみるとものすごい人の数である。参加者は1000人以上とサンフランシスコでは最大のスイムレースであった。2艘のフェリーで島の近くまで移動する。

 もう一つ驚いたのはウェットスーツで泳ぐ人の割合である。フェリーの中で見たところ、8割がウェットスーツ着用であった。普段海洋公園で練習しているときは2割程度であり、ウェットを来ていると「おまめ」「初心者」扱いされる。こんな低温の中でも水着で泳ぐのが「アメリカ人の常識」で、泳げないことは劣っていることだと感じていたが、実際には水着で泳ぐのが非常識であることがわかり安心した。

○スタート

 船から飛び降りてスタート地点まで泳ぐ。1000人が一斉スタートするので、1艘あたり500人が順番に降りて、その後スタート地点で待つことになる。泳がないで10分程度待つと言われたので、からだが冷えることを恐れて最後尾で降りたが、これが大失敗だった。

 船上からはスタートラインで待つ人達が近くに見えたが、一旦飛び込んで浮上すると方向がわからない。他の人が泳ぐ方向を目指して泳いだが、なかなかスタートラインに着かない。そうこうしているうちにスタートの汽笛が鳴り、スタート地点より前からスタートすることになってしまった(マラソン大会状態)。おそらくこれで3分以上のロスになった。

 1000人が泳いでいるものの最後尾からのスタートだったので、バトルはほとんどなし。逆に考えればかなり広がっている状態を許容しており、今後のナビゲーションで要注意だったのだがそのときはそんなことを考える余裕もなかった。

○目標は右なのに左に行けの指示

 当日の潮の状況はフェリー船内で放送されたようであるが、拡声器が故障していて途切れ途切れで何を言っているかわからない。準備資料では向かって左から右に流れるebb currentが強いということで、ゴールはやや左側をめざすように記述されていたのでそのようにして泳いだ。

 ところが8分程度経過したときに、カヤッカーに「もっと左に行け」と言われた。ダウンタウンを通り越してベイブリッジの方向であり、完全に逆方向である。他にも同じ方向に泳ぐ人達がいたので疑問に重いながらベイブリッジを目指す。

 その後はカヤッカーに出会うこともなく10分程度泳いでいたが、さすがにこのままではまずいのではないかと考え、目標物を次第に右寄りにしていった。次のカヤッカーに出会ったときには、かなり右の目標物を目指すように言われたので、このとき初めて後ろを振り返ってアルカトラズ島をみて、自分が相当流されていることがわかり愕然とした。

○いろいろな環境を試すチャンス

 この段階でよいタイムを望むことはあきらめて、オープンウォータースイムの実戦練習に意識を切り替える。マラソンスイム・プログラムで作成した8段ギアの作り方を思い出し、環境に合わせてギアを変えて泳いだ。

 小さなうねりではエッジをかけることが大切で、大きなうねりではあわてることなくサイティングするか息継ぎするか次の動きを決める。水温が変化する場所では冷えを防ぐために加速を上げた。

 海洋公園入口の防波堤沿いでは、やっと本来来るべき追い潮状態になりリラックスしながら泳いだ。

○結果

 51分で全体の真ん中、エイジグループでも全体の全体の真ん中あたりであった。泳いだ距離は言われていた距離よりも600m長く3kmを超えた。実際の軌跡も下のようにかなり右側にふくらんでいる。正しいナビゲーションができれば10分は縮められたと思うと残念である。




 一方100mペースは1分44秒で、現在の練習ペースと同じであった。後半は練習のつもりで泳いでいたので、普段通り泳げたことになる。

 目標物が遠くのものになればなるほど自分が横に流されてもわかりにくい。後ろの目標物と3点で確認することが大切であることはこれまでも実践し指導してきていたが、1000人のレースということで冷静に対応できなかったことを反省し、次につなげる。

 また潮流の激しい区間を泳ぐときは、潮位表や水流速度表を参考にして自分の泳ぎ方を決める必要があることもわかった。

 来年にもこの大会に参加して、どこまで成長したか確認する。