2014年7月30日水曜日

泳ぎと走りの心拍数の違いを知る

スイム 1650yds+2500yds

本日よりロットネスト海峡横断スイム20kmの準備を始める。6時間走れるのなら7時間泳げるだろうという単純な仮説に基づいている。練習1回で長距離を泳ぐことができないので、1日2回練習として合計8km程度まで引き上げたい。

しかしOWSの実戦経験は昨年ココス8kmの1回きりで今後も予定がないので、来年2月に参戦するかどうかは関係者と相談しながら決定する。

135以上の心拍数では乳酸が蓄積してスピードが下がったり、運動が継続できなくなる。そこで水泳の心拍数はどのように変化するのかを、Finisのハートレイトモニターを使って実験した。なお安静時心拍数は86である。

・リラックスして泳ぐ:400ヤードで平均80


最初は100程度まで上がったが、すぐに75~85の幅に落ち着き、距離が伸びても変化はなかった。
安静時心拍数よりも下がっている。水中での心拍数は水圧により1割程度下がることを考慮しても、運動しているのに安静しているときより心拍数が小さいのはよくわからない。

・ストローク数一定で泳ぐ:5×200で平均90


ストローク数を一定(N、N+1継続)にして泳いだときは、少し負荷がかかった感覚はあったがそれでも90である。

・テンポピラミッド:10×200@1.15~1.30~1.00秒

ストローク数一定で泳ぐ。心拍数は最初80台後半、次第に上がりテンポ1.30秒の折り返しで90台後半、1.00秒では130まで上がった。

・スプリント:3×100@1.15,1.10,1.05秒

ニューパラダイムの泳ぎで心拍数を計測した。1分24秒から18秒まで上がり、心拍数は最後に142を記録した。これはランニングのややスピードを上げたペースのときの心拍数と同じである。

○ランとスイムの心拍数の比較

ランではリラックスペースでも130台後半となり、上り坂では140台後半まで上がる。スピードを意識すると平地でも150を簡単に上回る。先日のマラソンでも走っているときは150を下回ることがなかった。

一方水泳はリラックスして泳げば安静時心拍数よりも下がる。また「かなりきつめ」の練習を行ってようやく60%の運動強度である。

心拍数140台を続けると乳酸が溜まる虞があるので、130程度に収まる練習を長い時間かけて行う一方、140以上のきつい運動を組み合わせることで乳酸リスクを減らすことにする。


練習後の気分:8(泳ぐのは走るのよりもやはり気持ちがよい)




2014年7月29日火曜日

魚が42.195kmを走った日

サンフランシスコのマラソンレースに出場し、初めて臨んだフルマラソンを完走することができた。時間は6:10である。

○レース四週間前:20km走で致命的な欠点を発見


足が棒になる状態を過去2回経験していたが、これが乳酸の蓄積によるものであり、その原因が高い心拍数で走ることがわかった。このときには150平均(強度90%)で走っていたが、18kmあたりで足が棒になり、結局歩けなくもなりリタイヤした(迎えに来てもらった)。フルマラソン完走が遠のいた。

○レース三週間前:26km走で完走できず


前週のリタイアを反省して、7割程度の強度に落として走ったものの、24km地点で足が棒になり残りは結局歩いたり少し走ったりの繰り返しになった。

○レース二週間前:20kmようやく完走


感覚に依存しても結果が出なかったので、心拍計に基づいて最初は130台前半、中盤で130台後半、後半で140台後半に落としてようやく完走することができた。ペースはそれぞれ8分30秒、8分、7分30秒である。

従って足が棒にならず完走できるペースはkmあたり8分程度であることがわかった。このペースで続けて5時間36分、トイレや給水のロスを入れると制限時間の6時間を切れるかどうかという状況であった。

運動強度90%でキロ7分ペースであることは、走ることがその人の本来持つ運動機能に依存することを意味する。簡単に言えば速い人は速いし、遅い人は遅いのである。遅い人が誰でも速くなれるわけではない。1kmなら強度90%で走ることができるが、42kmは不可能である。

今回マラソンに関する書籍を30冊以上通読したが、この程度の運動機能を持つ人に対してマラソンの戦略を提案している本は一冊もなかった。完全に除外されているのである。違和感(疎外感)を感じた。

○レース本番:大きな誤算


レースでは5kmずつ心拍数やペース、時刻を想定し、給水場所で摂取するサプリメントもすべて決めたうえで本番に臨んだ。

スタートしてすぐわかったのは、緊張状態にあるため普段より心拍数が10~15上がっていることだった。最初は歩いても135を下回ることがないぐらいであった。仕方なくペースを優先して走っていたが心拍数は常時155近辺であった。

25km地点までは想定ペースを守ったものの、足の疲れが出ただけでなく、足がけいれんし始めた。さらに上り下りが多くひざの痛みも出てきたので、後半は給水近辺だけでなく上り坂も歩くようにした。

それでも40.5km地点までは何とか走ることができたが、それ以降は両足がつった状態になった。無理するにはリスクが大きすぎたのと、実走距離に基づいた残りの距離と、ゴールまでの実際の距離に500mの差があり制限時間内には到底到着できないと判断して、残りはゴールまで歩くことにした。

○ランニングで得られたこと


  • ラクに走ることだけでは20km超の距離を走りきることはできない。筋力を上げることで乳酸の蓄積を抑え、乳酸の耐性を高める必要がある。
  • 心拍数により運動強度が決まり、運動強度により速度が決まる。運動強度一定で速度を上げるためには練習をデザインする必要がある。
  • 速く走ることは、速く走ることだけが目的になるのではなく、筋力を上げることを目的とする場合がある。運動機能的に遅い人ほどこの練習を取り入れる必要がある。
  • 6時間の運動を続けるだけの心肺機能はあった。

特に最後の心肺機能は重要であり、マラソンスイムに挑戦できる基礎となる。

これまでの8ヶ月のラン練習を通じて、スイムに使えること、使えないこと、ランにおける自分のポジションや今後のランの取り組み方など多くのことがわかった。1500mスイムで自己ベストを出し、フルマラソンを完走したことで水陸両用ボディは完成した。今後はマラソンスイムを完泳するだけでなく、速く泳げるようにすることを目標に練習する。

新しい問いかけ:「6時間走るのと7時間泳ぐのはどっちがラクか?」







2014年7月1日火曜日

異次元の泳ぎを目指して泳ぎを再構築する

先週末のマスターズにおいて、1500mで20分を切る人たちの異次元の泳ぎを見て分析した。テンポを上げてストローク数をそこそこに抑えるという考え方は通用せず、徹底したストローク数削減のうえに空回りしないハイテンポを両立させる必要があることがわかった。

そこで今週からは自分の泳ぎをゼロベースで見直し、現在よりも効率を20%アップすることを目標にして練習の内容を決めることにする。

●再構築のポイント1:ストローク数のダイエット

かつては25ヤードで10~12ストロークを維持して泳いでいたのであるが、スピードアップ練習の割合が増えるにつれて平均ストローク数は12から14、さらに16ストロークにまで上がっていた。これを最終的にはハイテンポで12ストロークのレベルまでダイエットする必要がある。またこのときのエネルギー消費を最小にするための泳ぎ方も見極める。

手始めに今日は充電チェックを行い、充電可能なストロークレンジを確認した。
  • 50+75+100:第2ラップ以降は第1ラップ+1で泳ぐ、最初はリラックスした状態で数える。
  • 50+75+100:上記セットよりそれぞれラップあたり1ストローク減らす。ストローク数の維持にどのくらいのエネルギーを使うか観察する。
結果は最初14+15n(nはラップ数)となった。これを13+14nにしてもエネルギーの消費は確認できず、充電しながら泳ぐことができた。動作の無駄を観察し、より少ないエネルギーによる加速に代替する方法を模索しながらこの練習を続ける。

●再構築のポイント2:ストローク数を減らすほど速く泳ぐ

テンポピラミッドのテンポゆっくり局面では、ストローク数を減らすだけでなく泳ぎのキレを上げ、推進力の持続時間を伸ばすことで速く泳ぐ。

  • テンポピラミッド10×50@1.20-1.35-1.05秒:ディセンディング目標
1.20秒では13+14ストロークで最初44秒、その後全局面においてほぼディセンディングを達成し、戻りの1.20秒では39秒で5秒短縮、さらに1.00秒まで4段階上げて35秒にすることができた。この段階で15+16であった。


●再構築のポイント3:ブーストスイッチを身につける

急加速できるブーストスイッチを身につけることで、ライバルから引き離されないようにする。

  • スロースイム:1.60秒-2.10秒@0.10秒刻み:安定と加速の道具を選ぶ
  • 倍速スイム:2.0秒→1.0秒
安定した姿勢やキレのある加速をスロースイムで身につけ、倍速スイムでその技術を適用する。


現在考えている取り組み方は以下の通りである。このアプローチを順番、一部は並列に行いながら目標を達成する。

  1. 14ストロークで永久に泳げる=充電できる泳ぎを身につける。
  2. 12ストロークで充電できる泳ぎを身につける。
  3. 12ストロークで泳ぐために必要なテンポのレンジを上げる。
  4. 3で泳げる距離を伸ばす。