2016年11月18日金曜日

やっぱり「ストローク数を減らす」>「テンポを上げる」

スイム 3200yds


前日は急に冷え込んだせいか、暖房利用急増のため2時間近く停電した。気温が8度くらいでプールも停電が予想されたため練習をあきらめた。

今日も同じように冷え込んだが、もう慣れてきたので泳ぐことにした。気温5度、室温は15度だが暖房は入れていない。同様に気温38度、室温32度でも冷房を入れずに済むのだが、なぜそうなのかはわからない。

○10×100 テンポ練習

今回は、いずれかのラップにおいて、「テンポ1.40秒のときのストローク数+3になったら終了」というルールを設けた。

結果は以下の通り。14ストロークに転じるテンポが前回の1.25から1.20になった。
なおフリップターンを使っているので、第2/3ラップはオープンターンよりストローク数が1少ない。
第1ラップはプッシュオフにより距離が伸びるので、ストローク数は総じて第1ラップ<第2/3ラップ<第4ラップとなる。

テンポ0.95秒で17ストロークとなったので、終了した。テンポに合わせるだけで精一杯で、加速してストローク数を減らそうとすることができない。ストローク数が増え、タイムが遅くなっているので明らかに空回りしている。

目標は、テンポ0.95秒でテンポ1.00秒のときと同じストローク数で泳ぐことである。次回は力の入れどころや入れどきをコントロールしてみる。



ストローク数
11/18テンポ第1ラップ第2/3ラップ第4ラップタイム
11.401314141:34
21.351314141:32
31.301314141:31
41.251314151:30
51.201415151:26
61.151415151:25
71.101415161:22
81.051516161:21
91.001516161:20
100.951617171:21


○10×100 ペース練習

先ほどのテンポ練習ではテンポを上げて泳いでもストローク数が増えてしまい、結局速くならなかった。そこでペース練習では、テンポを上げて一旦貯金を作ったら、ストローク数をできるだけ減らすように泳いだ。

ストローク数を減らすためにはテンポを下げなければならず、こんなペースでは壁まで間に合わないのではないか(壁に到着する前にビープ音が3回鳴る)と思ったが、実際には貯金を維持し続けることができた。

さらに20秒(目標ペース)でも17ストロークを維持することができ、結果的にテンポ練習のテンポ0.95秒より100ヤードで4秒近く速くなった。


11/18ペースタイム実際のペースストローク数
1231:2621.718
2231:2721.918
3231:2922.317
4231:2822.016
5221:2421.218
6221:2421.216
7221:2421.116
8211:2320.717
9211:2120.417
10201:1719.517

○考察

速く泳ごうと思ってテンポを上げても、空回りすればかえって遅くなる。ストローク数を減らしながら力を加えることで加速を上げると、結果として速くなる。具体的にはテンポを速くしただけのストローク数よりも、-2~-3で泳げるようにすると速く泳げる。このためには水中での力の入れどころを磨く必要がある。

2016年11月16日水曜日

上達がわかる仕組みを作る

スイム 3000yds


外気温が15度を切り、屋外での練習も寒くなってきた。サンラモンの公営プール(50mプールを横に使う)はほぼ1人1コースで快適なのだが、更衣室まで50m以上歩く必要がある。行きはTシャツを着たまま行けばよいが、コースに着いてからもたもたしているとあっという間に冷えてしまう。帰りはもちろん濡れたままなので、限りなくランに近いウォークで更衣室までまっしぐらである。

このようにやる気がなくなる環境でプール練習を続けるには、上達がわかる仕組みを作る必要がある。そこで以下の練習をしばらく続けることにする。

○ウォームアップ:500

サンフランシスコ湾とは比べものにならないほど暖かい(26~27度)が、それでも水の中に入ると息が止まる。文字通りからだを温めるためにウォームアップは500に伸ばした。

500を100ずつに分け、以下のように意識した。(1)動作をなめらかに行う、(2)入水位置を近づける、(3)キャッチで水を手に当てる、(4)プルで肘を使って水を運ぶ、(5)プッシュでからだの回転を使って水を後ろに押しきる

○テンポ練習:100×12

限界テンポテストから派生した練習である。テンポ1.40秒からスタートして、0.05秒ずつ速くする。私の限界テンポである0.90秒まで上げる。ストローク数は1.40秒のときの+2までとする。以下が結果である。

ストローク数
2016/11/16テンポ第1ラップ第2/3ラップ第4ラップ
11.40131414
21.35131414
31.30131414
41.25141414
51.20141415
61.15141415
71.10141415
81.05151516
91.00151516
100.95161617
110.90161617

この練習から、上達したかどうかを2つの方法で測定することができる。

上達の測定方法(1):ストローク数が+1、+2となるテンポが速くなる

第1ラップを見ると、テンポ1.25秒、1.05秒のストローク数が、それぞれ1.40秒のストローク数に比べて+1、+2となっている。これがより速いテンポで達成できるようになれば、テンポの差×ストローク数だけ速くなっている。

上達の測定方法(2):あるテンポのラップ間のストローク数の差が縮まる

第1ラップと第4ラップのストローク数の差が2だったのが1になれば、そのときのテンポの時間分だけ速くなっている。

従って「速いテンポでストローク数が上がらないようになった」「ストローク数の変動が小さくなった」という2つの側面で、上達したことを確認することができる。

今日の練習結果に基づいて、今後「力の入れどころ」にメリハリを加えながら泳ぎを上達させることにする。

○ペース練習:100×10

上記のテンポ練習で限界テンポまで上げたので、速く泳ぐ意識が高まっている。この勢いを活用する方法として、ペース練習を以下のように行った。

目標ペース+3秒4本
目標ペース+2秒3本
目標ペース+1秒2本
目標ペース1本
これもラクに貯金ができるようになったら、全体的に1秒削って強度を上げる。


○バタフライ研究

ラクなバタフライのレベルを上げて、速いバタフライに変換する方法を研究している。以下がバタフライのスピードを変えるときの「道具」になる。
  • 入水する手の位置
  • 入水後の手のうごきを止めない
  • 許容できる上下動
  • 水中の手の経路
  • 第1キックと第2キックを変える

○コアトレと下半身トレの効果

コアトレと下半身トレを開始して1カ月が経過した。泳ぎにおいてはあまりわからないが、片足を上げたままドライヤーでその足を乾かして靴下をはく、といったことがふらつかずにできるようになった。

2016年11月9日水曜日

限界テンポのテスト結果

スイム 2250yds


日本から戻り天候も良かったので、リラックスと時差ボケ解消を兼ねてプールに行く。日本の30度の水温に慣れていたのでかなり冷たく感じた(おそらく27度程度)が、外気温も22度程度しかないので泳ぎ続けると気にならなくなる。


最近のワークショップなどで限界テンポのテストを行ってみたところ、意外と速いテンポで泳げることがわかり好評であった。自分のケースについても今回改めてテストすることにした。


  • テンポ1.40秒:2回泳ぎいずれも16ストローク
  • テンポ1.35~1.15秒:16ストローク
  • テンポ1.10~1.00秒:17ストローク
  • テンポ0.95~0.90秒:18ストローク
  • テンポ0.85秒:いずれも19ストロークでテスト終了
  • 以上より限界テンポは0.90秒と決定


限界テンポのテストは、「1.40秒のストローク数+3」または「前回のストローク数+2」のいずれかを2回繰り返した時点で終了する。10年近くテンポトレーナーを使って練習しているので、テンポを0.05秒変えて2ストローク増えることはなく、徐々に増えて終了した。

0.90秒まではテンポに動きを合わせながら加速を意識することができたが、0.85秒になるとテンポに動きを合わせるだけで精一杯で、ストローク数をコントロールすることができなかった。限界テンポが0.90秒というのは妥当であろう。

以上より限界テンポをピークとするテンポのコントロール幅は1.05秒±0.15秒になる。これまでは1.15秒±0.15秒だったので、新しいテンポ幅に慣れることができるように、ピラミッド練習でベーステンポ(中心のテンポ)を次第にスライドさせることにする。


2016年11月6日日曜日

空回りしない限界テンポを磨く

速く泳ぎたいときには、全ての人が普通よりも速いテンポで泳ごうとする。ところがテンポを速くすると、1ストロークで進む距離が短くなるのでストローク数が増える。速いテンポで極端にストローク数が増え、スピードが上がらない状態を「空回り」と呼んでいる。

効率良く速く泳ぐためには、この空回りをしないテンポである限界テンポを知ること、そして限界テンポを練習により引き上げることが大切である。


○空回りの実例

例えばテンポ1.20秒で泳いだときのストローク数が16の場合、壁を蹴ってひとかきする時間を2カウントとすると25mのタイムは21.6秒である。速く泳ごうと思ってテンポ1.00秒で泳ぐと、ストローク数によって結果は以下のように変わる。

  • テンポ1.00秒、ストローク数16でタイムは18秒:3.6秒(17%)短縮
  • テンポ1.00秒、ストローク数18でタイムは20秒:1.6秒(7.4%)短縮
  • テンポ1.00秒、ストローク数19でタイムは21秒:0.6秒(2.7%)短縮
  • テンポ1.00秒、ストローク数20でタイムは22秒:0.4秒(1.9%)遅くなる
実際に1.20秒から1.00秒に変えて泳いでみるとわかるが、テンポを速くするのはとても大変である。テンポを17%も速くしたにもかかわらず、結果であるタイムで17%短縮できるのはストローク数が同じ場合だけである。しかも4ストローク増えると、1.20秒のときより遅くなってしまうのである。

マスターズなどの水泳大会では、通常申告タイムで泳ぐ順番が決まる。最後のレースとその前のレースを比べると興味深い。1つ前のレースまでは、誰もが速いテンポでしぶきを上げて泳いでいる。ところが最後のレース(最も速い8人)は、全体的に静かでゆっくりとした印象を受ける。おそらく選手は自分が最も効率良く速く泳げるテンポを知っていて、そのテンポの中でストローク数を最大にしようとしているのであろう。

速く泳ぎたいのであれば、まず空回りしない限界テンポを知ることが必要である。そのテンポにおいて最も少ないストローク数で泳げる状態が、現時点で最も速く泳げる泳ぎ方になる。


○限界テンポの見つけ方

ゆっくりしたテンポから次第に速いテンポに変えて泳ぎ、ストローク数を数える。ストローク数の変わり方を観察して、限界テンポを見つける。
  1. テンポを1.40秒にして泳ぐ。ストローク数を数える。通常のプール(特にウォーキングレーンのあるプール)では行きと帰りでストローク数が異なるので、2回泳いで多い方を基準値とする。
  2. 以下の条件を満たす範囲で、テンポを0.05秒ずつ速くして2回泳ぐ。
    1の基準値+2ストローク
    前回泳いだストローク数+1ストローク
  3. ストローク数が2の条件のいずれも満たさなくなったときに、同じテンポでもう1回泳いで再検査する。
  4. 再検査において、条件を満たせばテンポを0.05秒速くして続ける。条件を満たさない場合はその時点で終了する。
  5. 終了したときのテンポ(条件を満たさないテンポ)から0.05秒を引いた数が、限界テンポである。
例えば18ストロークでスタートした場合、21ストロークになるか、18→20のように2増えた段階で再検査となり、同じ状態であればそのときのテンポ-0.05秒が限界テンポである。

○限界テンポの活用法

限界テンポは空回りしないぎりぎりのテンポなので、このテンポ-0.15秒をベーステンポとする。テンポピラミッドではベーステンポ±0.15秒の範囲でテンポを変えて泳ぐ。

練習による上達の方向は2つある。
  1. 限界テンポにおけるストローク数を1減らす。これにより限界テンポ分だけ速くなる。
  2. 限界テンポを0.05秒引き上げる。これにより0.05×ストローク数だけ速くなる。
1については加速を上げることで達成できる。ベーステンポ+0.5秒程度の非常にゆっくりしたテンポで泳ぐことで、安定性と加速の両方を磨くことができる。

2については速いテンポで加速を維持することで達成できる。回転角度を小さくしながら水中の手の移動距離を短くして速いテンポに合わせながら、手に当たる水の感覚を維持する。


スピードを上げたときの自分の泳ぎ方をデザインすることは、効率良く練習するために必要である。限界テンポを知り、それを磨くことで練習の質が向上する。