2016年5月25日水曜日

強度の高い運動を長距離続けるためには

OWS 3.7km(1時間13分) 水温17℃


サンフランシスコ湾の海洋公園内を3周する。前週は水温13℃で低温症になりかかったが、今回はとても暖かく感じた。

今回初めてOWSで心拍計を装着した。平均心拍数は152で運動強度のゾーンは4.1(最大5)と非常に高めであった。

心拍数の時間推移を見ると、最初にパニックモードに入るので心拍数の上がり方はプールスイムよりもランニングに似ている。161まで上がったところでフラッグの温度計確認のため10秒程度休憩して急激に下がり、あとは上がったり下がったりを繰り返している。ランニングにしてもプールスイムにしても一旦上がった心拍数は下がらない。OWSでは自然にペースが落ちて心拍数も下がるようである。

平均心拍数152はプールスイムではかなりきつい練習(ペース練習)を行っている状態である。ストロークレート(テンポ)は0.90秒で、プール練習では行わない非常に速いテンポで泳いでいる。10kmレースの想定所要時間は1時間40分なので、この強度で100分、できれば2時間続けて泳げるようにしなければならない。

練習のタイプによる運動強度の違いを見る

これまでテンポ一定、ストローク数一定、ペース一定で各1000ヤードを泳いで、それぞれの心拍数の推移を観察した。
なお条件を揃えるために、順序を変えて3パターン測定してみたが、いずれも同じ結果であった。以下運動強度の高低は心拍数の大小を意味する。

  • テンポ一定(1.15秒)が最も運動強度が低い。
  • 最も運動強度の高いのはペース一定(23秒)である。
  • ストローク数一定(17)はテンポ一定に比べて運動強度が高いものの、ペースはほとんど変わらない。
  • ペース一定のペースはテンポ一定に比べて6%速い。一方運動強度は2.6%高い。
次にテンポ3種類(1.15秒、1.10秒、1.05秒)で各1000ヤードを泳いだ。

  • 平均ペースは1秒ずつ速くなった。
  • 平均心拍数は2ずつ上がった。
  • 心拍数の高い状態に達するまでに最初は25ラップ、以降は10ラップかかった。
以上より、強度の高い運動を長時間続けるための練習方法は以下の方法が考えられる。
  1. 練習の始めでは心拍数を上げるのに時間がかかる。ピークに近い状態にするのに500ヤードは必要なので、短い練習時間であれば1500~2000をノンストップでテンポ一定で泳ぐのがよい。
  2. 徐々に強度を上げるのであればテンポ一定→ストローク数一定→ペース一定の順でセットを組む。10ラップ程度で心拍数はピークに近づくので、500または1000のセットを行う。500の場合には心拍数を上げるためにテンポを速くしたり、ストローク数を減らしたりする。
  3. 高い状態を最初から最後まで維持したい場合は、速いペース(通常より1秒または2秒)で200ヤードを複数セット泳ぐ。かなりきついので休み時間を多くとりたくなるが、45秒休むと30程度下がってしまうので30秒を上限とする。
追い込む練習の基本はペース一定スイムである。ペーススイムは貯金や借金の状況がラップごとに分かるため、ゴールするまで結果がわからないインターバル練習に比べて泳ぎを修正しやすい。またペースが落ちた原因もわかりやすい。

今後速いペースで短距離(最低200)を繰り返し泳ぐ練習と、少しゆっくりのペースで貯金を作りながら長距離(2000~3000)泳ぐ練習を行い、心拍数の推移を観察する。



2016年5月19日木曜日

心拍計の活用

スイム 4550 yds

心拍数をリアルタイムで捕捉できるようになったので、タスクやペースとの関係を見るための練習を行った。

●メニュー


  • 500: フォーカル・ポイントスイム
  • 1000: テンポ1.15秒一定、できるだけリラックス
  • 1000:ストローク数16一定、ストローク数維持
  • 1000:ペース維持(ラップ23秒)→かなりゆっくりの意識
  • 4×200:ペース22秒
  • 1×200:ペース21秒


●結果(ストローク数は片手のみ測定)


  • テンポ一定だとスピードのばらつきが大きい。
  • テンポ一定の平均ペース1:38 平均心拍数144 合計ストローク数356
  • ストローク数維持の平均ペース1:39 平均心拍数151 ストローク数358
  • ペース一定の平均ペース1:23 平均心拍数159 ストローク数357


●考察


  • テンポを一定にしてリラックスして泳いだ方が、ストローク数を維持して泳ぐよりも運動強度(心拍数)は約5%小さい。しかも平均ペースは速い。
    →ストローク数よりテンポを意識して泳ぐべき。
  • ペース一定におけるテンポトレーナー設定値は23秒×4=1:32だが、実際には貯金を作りながら泳いでいたのでペースは1:23、平均ラップタイムは21秒であった。23秒は16ストローク@1.15秒のターンとプッシュオフを含めた(+4カウント)計算値である。ストローク一定と比べてもストロークは変わってないので、タイムが速くなった=ストローク一定で速いテンポで泳げたことになる。
  • どのケースにしても、残り300あたりから心拍数は上がるがペースは落ちている。効率が悪化していることを意味する。このとき心拍数は3つのケースで絶対値は異なるがいずれも飽和状態になっている。上昇し続けるというよりも、
    疲れる→スピードが下がる→挽回しようとして心拍を上げる→スピード上がらない→負荷が増えないので心拍はそれ以上上がらない
    という流れが考えられる。
  • 残り3分の1で、負荷を上げてもよいから確実にスピードを上げる戦略が必要。ペース練習なら貯金の具合でスピードが上がったかどうか把握できるので練習に取り入れる必要がある。


全体に負荷の軽い順を想定して行ったが、ペーススイム先、ストローク維持先でも行うことで、疲労による心拍数の増加が要因に含まれるかを今後見る。

最後の5本は200を泳ぎ、貯金と借金の関係を逆転させてみた。心拍数の推移の面積がエネルギー投入量と考えると、貯金→0、借金→貯金→0に大きな差はなかった。

●心拍ゾーン分布

-ゾーン5:29%
-ゾーン4:36%
-ゾーン3:15%

ゾーン3は休憩時のみ。終了後はきつかったが体力の回復は早かったので、通常練習ならこの割合がよさそう。さらにきつくするならゾーン5を4割にする。練習内容としてはペース練習で200のセット@21秒か、1000ピラミッド@22秒でゾーン5を4割にできるか今後試してみる。

練習後の気分:8(たくさん練習した感じ)

2016年5月10日火曜日

ストローク数を減らして速く泳ぐ

スイム 4550yds

  • 500:フォーカルポイントスイム+究極抵抗水着
  • 10×200:テンポピラミッド@1.15-1.30-1.00秒+究極抵抗水着
  • 5×200:ペース@22秒
  • 1000:ペースピラミッド100+200+300+400
究極抵抗水着で泳ぐときに注意すること:
  • 前のめり感を上げる。→入水する手を加速して入水して、さらに前に伸ばすようにする。
  • さらに前のめり感を上げるために顔で水を押す。
  • からだの回転のキレを上げる。
  • 軽い6ビートで足の位置を上げる。
  • キャッチ-プル-プッシュの手の位置を浅くして確実に行えるようにする。
ペース練習では、抵抗が少なくなり加速が上がった。このためストローク数をいつもより少ない15~16で泳げるかテストしてみた。

これまではペースに合わせるためにテンポを速めにしてスピードを維持しようとしていたが、今回は16ストロークを維持してペースを守ることができた。ペース練習の前に究極抵抗水着を着て泳いだので、前のめり感や手の水中動作を意識して泳げるようになったためと考えられる。

最後のペースピラミッドでも少ないストローク数を維持することができた。最後の400の後半200はかなり疲れていたが、それでも前回のような借金まみれ(ペースが遅くなる)になることはなかった。抵抗水着の効果が出ていたのだろう。

今後もしばらくは全体の半分の距離で抵抗水着を着用して、丁寧な動作を意識する。

練習後の気分:7


5/8はサンフランシスコ湾で次男と一緒に泳いだ。水温14度は先週と変わらなかったが、パニックになる時間は2分30秒に抑えることができた。先に泳いでは少し待ちを繰り返した結果、44分のうち12分は泳がない時間がありものすごく震えた。泳ぎ続けないと水の中に居られない状態である。

2016年5月4日水曜日

速度維持力をテストする

スイム 3300yds

休息日の予定を変更して夕方泳ぐ。最初は混雑を予想して水との対話ドリル開発を予定していたが、誰もいなかったので速度維持力をテストした。

○ペースピラミッド 2250 yds@22 sec

テンポトレーナーをモード2にして22秒に設定して、50ヤードずつ増やしながら泳ぐ。
22秒はラクなペースで、通常であればターン後プッシュオフして4m程度進むとビープ音が聞こえるぐらいである。これまで100、200までの距離では全く問題がなかった。

そこで今回は50、100、150、200と50ヤードずつ距離を伸ばし、最終的に500までこのペースが維持できるかテストした。

50~300までは問題なく、各ラップでプッシュオフ後にビープ音が聞こえた。およそ21.5秒のペースを維持していた。

350の250あたりで、壁を蹴るときにビープ音が聞こえた。あきらかに中だるみが生じている。このため水中のキャッチとリカバリーの初動を合わせることで、テンポを速くしてペースを上げた。

400では最初にストローク数を減らして(15~16)伸びのある泳ぎを作ってみた。しかし150でペースが急に落ちたため、テンポを上げることにした。通算で1500以上スピードを意識して泳いでいることから、疲れやすくなっていたようだ。疲れた状況でペースを維持するためには、やはりテンポを上げていくしかない。

450では150あたりからターン前にビープ音が聞こえだしてきた。挽回しようとスピードを上げるが、タイムが変わらなかったため200のターンで一旦テンポトレーナーをリセットした。その後の200はターンしながらビープ音が聞こえる程度までペースを回復したが、結局タッチする前にビープ音が聞こえてしまいペースは維持できなかった。

500にトライする予定であったがペースの改善が望めないため、内容を変更した。

○ペース練習 100+150+150@21 sec, 100@20 sec

スピードを意識して長時間泳いだ後で、さらに速いペースで泳ぐことができるかどうかテストした。
泳ぐ距離が400から100に急減したため、1秒速いペースは問題なく維持できた。さらに1秒速いペースも、100であれば問題なく維持できた。


今回のテストにより、22秒というゆっくりペースでも1500以上泳いだ後の400では維持が難しいことがわかった。スピードを意識して距離を泳ぎ、さらにペースが維持できるかテストする練習は長距離を速く泳ぐためには非常に有効である。400までのピラミッド(トータル1800)をペース21秒で維持できるようにすることを今期の目標とする。


練習後の気分:8(1時間だけしか泳がなかったが内容は濃かった)


2016年5月1日日曜日

半年ぶりにサンフランシスコ湾で泳ぐ

オープンウォータースイム:2400m


6月下旬から7月にかけて2度10kmのスイム(ゴールデンゲートブリッジからベイブリッジまで)を行う。また8月にはアルカトラズスイム片道と往復+島一周もあり、冷たい海の水に慣れる必要がある。

昨年はウェットスーツ30分から始めて、時間をかけて水着だけにして泳ぐ時間も伸ばしていった。今年は昨年の経験もあるので、最初から水着+ネオプレンキャップで泳ぐことにした。

○気温17度、水温14度

自宅を出るときに気温が16度だったので、サンフランシスコに到着する頃には12度ぐらいだろうと思っていたら、予想外にサンフランシスコの方が暖かく17度に達していた。

これは海も暖かいのでは?と期待したのが大きな間違いであった。足を水の中に入れた途端、脳に突き刺さるような痛みが生じた。全身を水中に入れ、いつものようにあわてふためいて泳ぎ出すが、ものすごく苦しい。毎回呼吸しているのに、全然空気が入ってこない。

一番ブイまで到着する頃には、息継ぎなしで泳ぐような状態であった。これでは泳げないと思い、一旦上になって深呼吸を2回し、ようやく何が起きているかがわかってきた。


  • 入った瞬間に横隔膜がいっきに上がり、肺の容量が小さくなった。
  • 吸おうという意識が強く、吐いていないので過呼吸になった。
  • 息継ぎをしているのに空気が入ってこないので、パニックになった。
もうやめて引き返そうかと思ったぐらいであったが、上を向いて落ち着いたことで状況が把握でき、問題解決に向かって対応することができた。この後息苦しい状態は続いていたが、強く吐くことをひたすら意識することで、パニックは治まってきた。

結局通常の4回に1回呼吸に戻ったのはフラッグ地点(いつものコースの端)であった。水温計を見ると14度で、過去にはウェットスーツで1回泳いだときの水温程度しかないことがわかった。

今回のパニックに至る過程は、このような低温のスイムに限らずどこでも発生する可能性がある。泳ぎに慣れている人でもレースでは緊張することもあり、パニックにならないように注意する必要がある。


○泳ぎながら歯の当たる音が聞こえる

昨年は海洋公園の中を周回していたが、今回は今年初めてということもありまず直線距離を2往復して様子を見た。

問題がなさそうだったので周回を始めたが、途中でカチカチ音が聞こえてきた。なんだろうと思って観察すると、からだが震えていて上下の奥歯が当たっていた。手足は冷たさと痛みで麻痺していて震えていることがわからなかった。

いつも20分ほどすると1回目の震えが来ているのを思い出し、キックを強めにすることで運動量を増やした。そのうちに治まったようである。震えてもパニックになる必要はない。ただし1時間後に来る2回目の震えについては、やめるかどうかを判断する必要がある。

○水がとても重い

いつもの泳ぎにようやく戻って来たので、3月に泳いだグアムの海と比べてみた。
  • 当たり前ではあるが、水温が泳ぎにくさのほとんどの原因である。水温が半分もない。
  • 手の先までしか見えないので、観察できない。
  • 逆に手の先までしか見えないので、深くても怖くはない。
からだが意識せずに緊張するので、疲れやすくなる。また水が重く感じられるので、水中動作で手が疲れる。リラックスする技術をさらに高める必要がある。

○テンポが上げられないので終了

2周しようかと思ったが、フラッグ地点に達したときにテンポが上がっていないことに気づいた。動きが緩慢になるのが低温症の症状であることから、危険を感じて直線コースに切り替えて終了した。

シャワーでは鳥肌が治まらず、その後のサウナでも震えが止まるのに5分以上かかった。サウナから出た瞬間また大きな震えが15分ほど止まらなかった。


本日泳いだ時間は50分。10kmスイムでは1時間40分は泳ぐ必要があり、距離と違ってレバレッジが効かないのが冷水スイムである。毎週サンフランシスコ湾で泳ぎ、6月までに泳ぐ時間を倍にする必要がある。


練習後の気分:7(筋肉が相当緊張していたようですでに筋肉痛、でもやって良かった)