2015年1月17日土曜日

加速の段階

スイム 10,000yd(5x2000@1.20-1.00sec)

ロットネスト本番まで1ヶ月余り。今日が米国での最後の練習であり、締めに10,000ydを泳いだ。
気温11度、水温27度で休憩を含む総時間が2時間46分、スイム時間が2時間40分で、10km換算でスイム時間は3時間を切った。

一昨日は湯気が立っていたが、今日は気温が10度以上あったので湯気無しだった。ただし曇り空で見た目が寒い。

平均ペース(100yd)は1分36秒で、基本ペースから5%増しのマラソンペース92秒から若干遅かった。

○道具の配分

2000を4x500と考え、500をさらに5x100と考え、100ずつで以下の道具を意識した。
100は2×50として、最初は右側呼吸のみ、次は左右呼吸にした。
  1. 押す:入水した手を前に伸ばすことで加速
  2. ひっかける:キャッチを支点にして入水して伸ばす手を加速
  3. 撫でる:からだに近い軌跡で手を動かす
  4. 入水てこ:入水して伸ばす手の勢いを使って水中の手を撫でる
  5. 後ろに押す:入水して伸びきる直前の勢いを使って後ろの手で水を押す
つまり4x5x2x50である。考えごとをしていた4本目前半を除き、この道具のローテーションを維持することができた。

○加速の段階

およそ7000ストローク泳ぐので、水中で手をかくことで疲れて動作が甘くなることは避けなくてはならない。そこで手の使い方により加速の段階を考えた。

  1. 押す:入水して伸ばす手の勢いと、重心の移動を意識する。入水して前に伸ばす手と水中を動かす手を同時に動かすので、結果として水を後ろに押すことになる。
  2. ひっかける:キャッチの型をつくり、水をひっかける動作で手を固定することで、前に伸ばす手の勢いを上げる。ここでも入水して前に伸ばす手が中心となる。
  3. 撫でる:水中の手をリラックスして素早く動かすことで加速する。この段階から水中の手が優勢になる。
  4. 入水てこ:2のひっかける動作と視点が逆で、入水して伸ばす手を使って水中の手を素早く動かす。
  5. 後ろに押す:力を入れて押すのではなく、軌跡を増やすためのフォロースルーの意識。
入水して前に伸ばす手を意識すると、ラクに動かせるが加速力は小さい。水中の手を意識すると、疲れやすくなるが加速力は大きくなる。手の使い方を5段階に設定し、繰り返し使い方を変えることで疲労を防ぐことができるだけでなく、意識も集中し続けることができる。


○肘を引く勇気

初心者の水中動作でよくあるのが、ぼうがきと肘引きである。ぼうがきは手を伸ばしたまま回すことで、肘引きは水の抵抗に負けて肘から手を動かすことである。

水中で効率良く水を後ろに押すためには、肘を残した状態(「肘を立てる」と呼ぶ)で手首から先をゆるめて素早く動かす。しかしこの意識を持つと、わきの下や肩甲骨、さらに肘が緊張しやすくなる。

今回は4セット目(6000以降)で肘の痛みを感じたので、あえて肘を引いてみた。肘を引きながらも前腕に当たる水の量を確保すれば、空回りはしないことがわかった。

また最後のテンポ1.00秒では、肘を引くことでテンポに合わせやすくなった。肘を立てる場合に比べて肘を引くと押す水の量は減るが、その分素早く動かしてカバーすることができる。



熱海前まで練習していたときに比べて、秋からの練習量は3分の1程度になってしまった。一方で熱海やグアムでの泳ぎ方を見て反省し、基本に帰ったことで運動能力は維持できているようである。日本出張後は練習時間はほとんどとれないので心配であるが、この1ヶ月半で得られた感覚を維持して本番に臨む。


練習後の気分:10(予定通り10000yd泳げて安心)

2015年1月10日土曜日

疲れると発生する問題を解決する

スイム:9000ヤード

マラソンに参加するための練習として、10km程度を週4日走り、週末に20km以上の長距離をゆっくり走る方法がある。これに習って週4日4500~5000yd(レースの4分の1弱の距離)泳ぎ、週1日は10km近い距離を泳ぐことにする。

6×1500@1.20, 1.15, 1.10, 1.05, 1.00, 1.05秒

道具は、
  1. 入水位置を手前にして入水後に体重を乗せる
  2. キャッチの型を作り水をひっかける
  3. 水中の手を体幹の回転で動かす
  4. 水中の手を入水して伸ばす手の勢いで動かす
  5. その場で決める
とし、100ydずつ1つの道具を使った(うち最初の50は右息継ぎ、次の50は交互息継ぎ)。合計で500ydとなるので、これを3回繰り返した。

長距離の練習では、意識が飛んでしまうとスピードが落ち、練習の意味がなくなる。意識を集中し続けることも大切な練習である。上記のように4~5程度のポイントについて意識し、それを繰り返す方が、いろいろ覚えるよりも集中して動作しやすくなる。

練習開始1時間前に正月用に購入してあった餅を一つ食べ、練習直前および2セット目と4セット終了時にジェルでエネルギーを補給した。時間的には50分間隔で補給できたので、空腹を感じることなく泳ぐことができた。直前に漢方薬、3セット目にミネラルを摂取したためか足がつることもなかった。

疲れると何が起きるのか

4500までのセットは通常の練習と同じ距離であり、スピードも控えめだったので疲れは感じなかった。しかし4本目と5本目はかなり疲れを感じた。疲れたときに発生した事象は以下の通りである。
  • 集中が甘くなる。目の焦点も甘くなり、水中がよく見えなくなる。よく聞こえていた音楽も遠くに聞こえるようになる。
  • 動作のキメが甘くなる。手や足があるべきところにない。
  • 軌跡が甘くなる。水上や水中で手が思い描いている軌跡を通らなくなる。
最も深刻だったのは、「勢いに任せる」ことである。入水した勢いで体重を前にかける、からだの回転の勢いで推進力を得ようとするなど、勢いだけで泳ごうとする状態である。

これは「押す」道具であるが、疲れてくるといろいろな道具を使う気力がなくなり、体重を使った単純な動きだけに依存するようになるのが原因である。

勢いを使えば確かに推進力にはなるが、「入水前加速」や「オーバーローテーション」といった問題を引き起こしやすい。また押す道具だけに頼り、他のコントロール力が下がる点もデメリットである。

勢いに任せた泳ぎからの脱却

  1. 減速して丁寧に入水する」:TIスイムを長年経験していることで、重力を使った推進力に無意識に依存している。そこで入水直前に減速して静かな入水だけを意識することで、無意識に行っていることを中断する。
  2. フラットに泳ぐ」:回転の勢いで推進力を得ようとすると、回転角が大きくなる。フラットに泳ぐことを意識して、回転角を小さくする。
  3. 推進力を他で調達する」:肘ののびしろや素早い体幹の回転、キャッチの型や肘てこなど、重力を使わない推進力の比重を高める。

平均ペースは第1セットの1分34秒から第6セットには1分40秒まで下がった。先日の基本ペースによる基づくマラソンスイムの目標ペースは1分32秒なので、100ヤードあたり8秒の短縮が必要になる。来週は加速を上げた練習にシフトする。


練習後の気分:10(気温14度の屋外で2時間半も泳げば10あげてもいいでしょう)

2015年1月7日水曜日

ペースを磨く

 2月のロットネストに向けて、以下のような練習ステップを立て練習を行ってきた。

  1. 自己修正力を身につける
  2. ストローク数をコントロールする
  3. テンポをコントロールする
  4. 持続力を身につける
  5. 加速力を身につける
 そして最後のステップが、ペースを磨くことである。今日は現在のペースを知るためのタイムトライアルを行った。

ラン5マイル+スイム5000ヤード

通常の練習では、400ydsのウォームアップではテンポ・トレーナーを使わず、感覚を高めるための具体的な動作を行う。今回はウォームアップ直後にタイムトライアルを行うため、テンポを1.10秒(現時点のベーステンポ)に設定して速いテンポに慣れた。

 タイムトライアルは200ydと100ydを行う。200ydを泳いだ後に50×4本のイージースイムを入れ、次に100ydを泳ぐ。泳ぐスピードはレーススピードの8割とする。


  • 200yd:2分44秒(T2)
  • 100yd:1分16秒(T1)
  • 100yd基本ペース=T2-T1=1分28秒
  • 劣化率=T2/(T1*2)-1=7.9%
 ちなみに200ydだけで見たときに、最初の100ydを基準にした場合の平均の100ydタイムの劣化率は0.5%であった。

数字の見方

200を泳ぐときは100を泳ぐときよりもペースが遅くなる。従って200のタイムから100のタイムを引くと、200の後半を泳ぐときよりも遅くなる。
  • 200ydの後半100ydのタイム:1分22秒8
  • 100yd基本ペース:1分28秒
  • 乖離:6.3%
 今回の測定では6%程度遅くなった。そこで200を速く泳いだときの後半よりも6%遅いというこのペースを、1500mを泳ぐときの基本ペースとする。従って、
  • 1500mを泳ぐとき:基本ペースで泳ぐ
  • 200m:基本ペースより5~6%速いペース
  • マラソンスイム:基本ペースより5~6%遅いペース
 なお基本ペースはラップあたり22秒であり、16ストロークとクイックターンで泳ぐ場合テンポは1.10秒となる。現在の泳ぎ方とほぼ同じである。

目標の決め方

 1500mを100m96.8秒ペースで泳ぐと、24分12秒となり現在の泳力とほぼ一致する。これを22分30秒で泳ぐためには、今よりも7%ペースを上げる必要がある。これはラップあたり1ストローク減らすことを意味する。現在と同じテンポで15ストロークで泳げる加速が必要になる。

 またマラソンスイムのペースは100ydで92秒4、400ydでは6分10秒となる。普段の400×10のテンポピラミッドでは、後半のテンポ1.10秒あたりから6分13秒を下回るようになるので、意識をして泳げばクリアできることになる。

 これまでは100mや200mのラップタイムを基準に劣化率を計算し、目標となるストローク数やテンポを決めてきた。この方法では他人が計測する必要があるので、一人で練習するときには難しい。200と100を泳いで差をとる新しいやり方であれば、ペースクロックがあれば測定できる。

 今後はこの簡便法を用いてペースを測定し、目標達成のために何をすべきかを決める指針として活用する。


練習後の気分:5(3日連続で5マイルラン5000ヤードスイムをして疲れた)