2017年4月10日月曜日

【プライベートWS】トライアスリートが速く泳ぐためには

  プライベート・ワークショップで、「速く泳ぎたいのです」と真剣な顔で話すトライアスリートが多い。そんなときは「どのくらい速く泳ぎたいのですか?」と聞くことにしている。

1.1シーズン4カ月で10%を目安にする

  現在よりも20%速く泳ぎたい、という場合には、2シーズンかかることを理解してもらう。25m30秒ペースが24秒で60ラップ泳げるようになるというのは、夢でしかない。まず10%を目標にすることで、実現可能なステップを策定することができる。

2.ペースに換算する

   次に、全体のタイムではなくペースで考える。普段はプールで練習するであろうから、プールの長さに合わせて目標タイムをペースに換算する。例えば目標が1500m30分の場合、25mプールで考えると目標を達成するためのペース(目標ペース)は30×60÷60=30秒になる。つまり25mを30秒で60回泳ぎ続ければ、1500m30分という目標が達成できるのである。

3.2つのアプローチを決める

  目標ペースで目標の距離を泳げば目標は達成できる。このために2つのアプローチで練習する。
  1. 目標の距離を劣化せずに泳げるペースを引き上げる。
  2. 目標のペースで泳げる距離を延ばす。
  最初のアプローチであるが、ベストタイムの10%アップを目標として設定しているのであれば、ベストタイムのペースより5%遅いペースであれば目標の距離を泳ぐことができる。現在1500m33分であれば、25m35秒ペースなら1500m泳ぐことができるであろう。
  ここで大切なのは、劣化をしないために使う道具を磨くということである。続けて泳ぐよりは、短い距離を繰り返し泳いで合計で目標の距離に達するようにする。1回に泳ぐ距離は400m程度を最長とする。泳げるようになったらペースを1秒引き上げて、同じ練習を繰り返す。
  次のアプローチは、目標のペースで25mや50mを繰り返し泳いで、よりラクに泳ぐ方法を身につけるということである。こちらは最初のアプローチよりも短い距離のセットとして、十分に休み時間もとって(それでも最長60秒)確実に目標ペースで泳げるようにする。こちらは次第に泳ぐ距離を延ばし、最終的にセット合計で目標の距離を泳げるようにする。
 練習の段階的な目標は以下の通りである。

  1. 最初は目標より15%遅いペースで目標の距離をセットで泳げるようにする。泳げるようになったらペースを1秒引き上げて繰り返す。
  2. 最初は目標のペースで、セット合計で目標の距離の20%程度を泳げるようにする。泳げるようになったらセット合計の距離を延ばす。

4.目標ペースで泳ぐためのストローク数とテンポを決める

  3の練習と同時進行で、ストローク数とテンポをコントロールする力を高める。具体的には目標ペースで泳ぐためのストローク数を決めて(そうすればテンポも決まる)、そのストローク数の前後、テンポの前後で変化させながら決めた数字(ストローク数やテンポ)で泳げるようにする。

  以上が速く泳ぐためのシンプルなステップである。このステップのメリットは、上達度合いが数値でわかることである。
 なおこれらの練習を行うためには、テンポ・トレーナー・プロが必須である。テンポ・トレーナー・プロの持ち込みが許可されないプールでは、速く泳ぐための練習は限られる。また数値で上達がわかる仕組みを取り入れることができない。


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