手術や高血圧、さらには裂傷などにより1年半以上水泳から遠ざかっていたのだが、来月シンガポールに行き、例のマリナ・ベイ・サンズのプールで泳ぐという目標を掲げて練習することになった。
春には安全装置の充実した新車を買い、これで伊勢丹に週3行くと意気込んでいたのだが、先日松戸伊勢丹が閉鎖されることになり相当なショックを受けたようであった。このままではボケてしまうと思ってシンガポール行きに誘ったのだが、新しい目標ができて何よりであった。
所見:浮いてかいて進んでいる
脂肪による浮力で、バランスについては何の問題もない。ウェットスーツを着ているのと同じ状況か。
浮いていれば、手で水をかいていれば前に進む。
一方姿勢が平らになっているので、肩が半分水没していてリカバリーが難しくなる。
手を水上で運ぼうとすると、肩の可動域を越えるため上腕がロックされ、手を入水するときの肘の位置が下がってしまう。
・両手前グライド
足首の軟骨がすり減り足が痛いというので、倒れ込んで床を蹴る動作ができないと判断した。
倒れるだけの勢いを使う。
昔教わったように手を中央に伸ばそうとしているが、肩が動かなくなっているので伸ばしたまま手を寄せることができず、肘を曲げてしまう。60歳代以降によく見られる。
手は肩幅より広げて伸ばし、さらに水面から30度下げるようにしたらラクにグライドができるようになった。
もともと浮力があるので、本人は「からだが浮いた」という感覚よりも、「姿勢が安定した」感覚が大きいようである。
・斜め姿勢グライド
以前米国で浮力の大きい女性を教えたときに得られた知見が、「浮力が大きいと斜め姿勢ができない」であった。
斜め姿勢が今できなくても、スイッチと組み合わせればできるようになるという期待から、ここではできないまま次に移った。
・倒れ込みスイッチ
入水する手を水中で伸ばすことで体重が前に移動して、片手を前に伸ばした姿勢でグライドできること(まだ斜め姿勢はできないので平らな姿勢のまま)を、ビデオ撮影・再生で確認した。
この時点でのビデオ撮影と再生は非常に有効である。未知の動作を積み上げているので、本人としては何がなんだかわからなくなってくる。自分の姿勢や動作を目で確認できれば、次も正しい姿勢を作ることができる。
両手の倒れ込みになって、スイッチ後にからだが斜めになる場面が増えていった。あとは伸ばした手に体重を乗せることができれば、スイッチの趣旨を脳が理解したことになり、より正確な命令を手足に送ることができる。
・バタ足
足をももから動かして大きな動きを作っていたので、両足キックから始めてバタ足までを教えた。
テンポは緩慢であるが、これは年齢上仕方がない。
足が浮いていて、本人がラクに感じればOK。
バタ足を入れたことで、ラクになっただけでなく下半身が安定した感覚が得られた。
・完成形
入水した手を深く伸ばすことで斜め姿勢ができるようになったので、リカバリーの軌跡を上ではなく横にするように指示したところスムーズに手を動かせるようになった。
息継ぎは頭頂部を沈めたまま頭を回す意識だけで、がまんの手も少しできるようになった。
30分程度の練習ではあったが、本人もその違いに驚いて、納得したようである。
実は母は2011年にテリーが来日したときに、テリーから直接教わっている。何を教わったかは今となっては忘れてしまっただろう。もったいないことである。
ラクリン夫妻が母と庭で撮影した写真を先日偶然見つけてから、1週間もしないうちに訃報を聞いたので、何か運命的なものを感じた。
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