2018年5月8日火曜日

ラクに滑って泳ぐための技術 1

「ラクに滑るクロール・ワークショップ」のカリキュラムをデザインしている。
ここ6カ月間の指導経験や練習経験を形にするためにこのワークショップを企画した。
以下のような視点で集中的に技術を磨くことで、これまでのワークショップ以上の効果が得られると期待している。

○ラクに泳ぐ技術とは

ラクであると感じるためには、ラクでない状態を取り除けばよい。ラクでない状態とその原因について考えてみる。
  • 疲れる:筋肉の緊張、前に進む以外の力の使用
  • 苦しい:呼吸→筋肉の緊張、息継ぎの姿勢
  • 進まない:水の抵抗が大きい姿勢、小さな推進力
  • 痛い:可動域を越えた動き
これらの状態を解決することで、泳いでいて「ラクに」感じることができる。
解決する順番は以下の通りである。
  1. 支えを作る。
  2. 使う部位を決める。
  3. 可動域の範囲で動かす。

1.支えを作る

成人スイマーの多くにとって、ラクに感じない最大の原因は筋肉の緊張である。しかしリラックスすることを意識してリラックスできていたら、この問題は発生しない。

最近の指導経験から、リラックスできない最大の原因は「支えがない」ことであることがわかった。人間は動作を行うときに、意識的/無意識に支えを作る。その支えの多くは重力や地面から受ける抗力が基本となっているので、浮力で重力が相殺され、かつ流体である水の中ではうまく機能しない。そこで自分のからだを「硬く」することで、無意識のうちに支えにしようとしているのである。

従って水を押してその抗力により支えを作れば、リラックスする土台が整うことになる。

2.使う部位を決める

支えを作ったら、からだのどの部位を使うかを決める。ここでは「距離てこ」を使うことポイントである。

「距離てこ」とは、大きな力を支点の近くで加えることで、作用点の移動距離を増やすことができるてこのことで、通常のてこの逆である。からだの中では筋肉の収縮により非常に大きな力を生み出すことができるので、大きな力×筋肉の収縮(短い距離)=小さな力×長い距離(部位の移動)により手や足を素早く動かしたり、長い距離を動かすのに使うことができる。

要はからだの中心に近い場所の筋肉を使うことで、手や足など先端の筋肉をリラックスすることができる。これが「ゆる締め」と呼ばれる技術である。


3.可動域の範囲で動かす

最後に手や足を可動域の範囲で動かす。このときには座標の考え方が重要になる。上体を立てた姿勢と寝かした姿勢では座標が異なることが頭では理解できるが、実際に手を動かすときには座標が混在するケースがほとんどである。

正しい座標上で、肩の可動域を越えずに手を動かすための動かし方を理解して、繰り返し練習することでからだに染み込ませる必要がある。

特に気をつけるべきは、以下のタイミングで行われる動作である。
  • リカバリーで水上に手を出す
  • 水上にある手を入水する
  • 入水した手を水中で伸ばして斜め姿勢を作る
  • 息継ぎで口を水上に出す
  • 水中で手に水を当てる
  • 水中で水を押す




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